7月12日から15日まで行われた「ワールド カレッジ ベースボール チャンピオンシップ(WCBC)」(台湾・台中市)の決勝戦でアメリカとの激闘を制して初代王者となった侍ジャパン大学代表。その要因や今後への期待も含めて総括していく。

「どんな状況にでも臨機応変に対応できるように」
酷暑での連戦や海外での開催ということもあって、鈴木英之監督ら首脳陣が代表結成当初から選手たちに求めていたことだ。また、それぞれが所属校やリーグの中心選手たちばかりだが、代表で求められる役割は異なることがある。その中でも一人ひとりがチームの勝利のために献身することを大事にした。
これらを最初から最後まで遂行できた裏には、選手たちの高い意識による準備があった。
開幕が予定されていた11日に台風が上陸し延期。準決勝は廃止となり4連戦となったが、その代わり予選ラウンド2位までに入らなければ、その時点で優勝の可能性が絶たれることになり緊張感の高い試合が4試合続くことになった。さらにロックダウンが発令されたため、初戦前日は外出もできない中での調整を強いられた。
それでも選手たちはジムやサウナ、自室を使ってコンディションを整え、翌日の韓国戦は10対0の7回コールド勝ち。2戦目のアメリカ戦は2対3で敗れたが、山里宝(亜細亜大)が「雰囲気が良く、誰も下を向いていません」「積極的にプレーできる雰囲気や声があります」と証言したように、チームは一丸となって立ち向かうことができていた。
予選ラウンド最終戦でチャイニーズ・タイペイに大勝し決勝でアメリカと再戦。この大一番でも試合途中から出場する選手の活躍が目立った。
6回まで0対2と劣勢を強いられたが、7回に相手失策から1点を返すと、井上和輝(法政大)と中山優月(大阪商業大)の代打2人による連打で同点に。所属校では中軸を打つ選手たちがしっかりと準備をして、ひと振りで期待に応えた。
11回には代打の西野啓也(立命館大)がダメ押し打。関西学生リーグでは3季連続でベストナインに輝いている捕手だが、この大会では渡部海(青山学院大)や前嶋藍(亜細亜大)に次ぐ3番手。それでも「試合に出ている2人との実力差は感じています」と受け入れ、自らの役割に徹した。試合序盤や中盤まではブルペンで投手のサポート役に徹し、終盤に打席に立つと、集中力を一段と上げて結果を残した。
投手陣も、調整が難しい中で4試合をわずか6失点に抑えた。予選ラウンドと決勝のアメリカ戦で、ともに中継ぎとして好投した大城海翔(仙台大)、角田楓斗(富士大)、古堅鈴之輔(富士大)は皆、甲子園出場は無く、東北の大学で力をつけた選手たち。積極的にストライクゾーンで果敢に勝負していき、MLB予備軍とも言える強力打線を抑え、大学での成長を遺憾無く発揮した。

決勝戦後、鈴木監督が「誰を出してもしっかり仕事をしてくれましたし、みんなが良い準備をしてくれていました」と振り返ったように、全員が準備を怠らず、役割に徹した結果の優勝だった。
また、この優勝で侍ジャパン大学代表は2023年の日米大学野球(アメリカ開催)、2024年の欧州遠征(プラハベースボールウィーク、ハーレムベースボールウィーク)、2025年の日米大学野球(日本開催)と、国際大会を4年連続(5大会連続)優勝し栄光が続いている。鈴木監督は「2013年に初めて大学代表のコーチをさせていただきましたが、その頃から比べて150キロ以上の球に負けなくなっています。パワーがついてきていると思います」とレベルアップを実感している。
加えて、優勝記者会見に出席した主将の渡部、エースの鈴木泰成(青山学院大)、MVPの榊原七斗(明治大)を例に「ここに並んでいる3人は去年の経験者でチームの中心となってくれました。来年も今回の経験者の誰かが彼らのように中心になって、侍ジャパンの心構えや魂を継承していくことが大事かなと思います」と語ったように、勝者のメンタリティーが受け継がれていることも大きい。
来年にはアメリカ開催のWCBC第2回大会が予定されており、そこでもどんな躍動が見られるのか楽しみだ。そして何よりも楽しみなのは、嘱望される彼らの将来だ。
特にアメリカ戦での経験は大きく、鈴木泰成は「少しでもコントロールが悪くなると打たれましたが、ボールに強さがあればファウルや空振りを取ることもできた。基本的なところではありますが、どちらも求めていきたいです」、渡部は「スイングスピードや強さは自分も求めていかないといけません。追い込まれてからの粘りは今年の方が感じたので、見習って意識していきたいです」と、さらなる高みを見据えた。
普段とは異なる環境や役割でも最善を尽くした選手たち。今回の経験も活かし、大学球界をさらに引っ張り、ゆくゆくは侍ジャパントップチームを引っ張る選手たちが1人でも多く出てきて欲しい。
選手コメント
榊原七斗(明治大)
打率.563、5打点の活躍でMVPを獲得
「アウェーの中で、初代王座になれたことは大きいと思います。リーグ戦、選考合宿とあまり調子は良くなかったのですが、鈴木監督に準備の仕方と間の使い方を教えていただいて、(直前合宿の)ENEOS戦から調子を上げていくことができました。ここを通過点として日々成長していきたいです」

ワールド カレッジ ベースボール チャンピオンシップ
大会期間
2026年7月11日~7月15日
予選ラウンド
7月11日(土)19:30 チャイニーズ・タイペイ(延期)日本
7月12日(日)13:30 日本 10 - 0 韓国
7月13日(月)13:30 日本 2 - 3 アメリカ
7月14日(火)19:30 チャイニーズ・タイペイ 1 - 12 日本
※開始時刻は日本時間(台湾:時差-1時間)
決勝
7月15日(水)19:30 アメリカ 3 - 6 日本
※開始時刻は日本時間(台湾:時差-1時間)
開催地
台湾(台中)
出場する国と地域
日本、アメリカ、チャイニーズ・タイペイ、韓国
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