第19回 アジア競技大会(アジア大会)のセカンドステージを2勝1敗で終えた侍ジャパン社会人代表は、A組2位でスーパーラウンドに進出した。メダル争い前哨戦となる初戦は4大会連続金メダルを目指すB組2位の韓国。プロの1軍でプレーする25歳以下を中心とした面々との顔合わせとなった。
午前中は曇り空も、試合開始時には青空が広がった紹興市。時折強く吹く風に冷たさを感じる中、紹興野球ソフトボールスポーツ文化センターの第1球場で12時(日本時間13時)開始のデーゲームが行われた。
息詰まる投手戦 僅差の争いに
日本は先発の嘉陽宗一郎(トヨタ自動車)が期待通りの投球を見せた。1回表、先頭打者を四球で歩かせるも、2番をピッチャーライナー併殺打に打ち取ると、その後は快投を見せる。2、3回と三者凡退。3連続を含む4つの三振を奪った。
4回の無死一、三塁のピンチでは韓国KBOリーグで本塁打1位(31本)の4番ノ・シファンを空振り三振。1死後、5番のセーフティースクイズが失敗し、二盗を試みた一塁走者を捕手の木南了(日本通運)が好送球で刺して2アウトとした。なおも2死三塁とピンチが続くも嘉陽は再びピッチャーライナーを好捕。相手の好機をつぶしていった。
一方の日本打線も韓国の先発パク・セウンに5回まで3番北村祥治(トヨタ自動車)のヒット2本に抑えられた。
試合が動いたのは6回裏、韓国は1番がセンターへのヒット。センターが打球処理をもたつく間に二塁へと進み、送りバントと四球で1死一、三塁として4番ノ・シファンがレフトに犠牲フライ。韓国が1点を先制した。嘉陽はここで降板。5回2/3、98球を投げて被安打4、失点1、8つの三振を奪って2番手以降に託した。
0対1で1点を追う日本は7回表に6番笹川晃平(東京ガス)がレフト前ヒット、8回には2死から1番中川拓紀(Honda鈴鹿)がレフトオーバーの二塁打を放つも、得点にはつながらなかった。
8回裏、韓国が1点を追加し0対2に。追う日本は9回表、先頭の3番北村がショートゴロエラーでこの日3度目の出塁。4番佐藤竜彦(Honda)がライトへのヒットで続き、無死一、二塁のチャンスを作った。しかし1死一、三塁で6番笹川のセカンドゴロ併殺打でゲームセット。韓国は6安打2得点、日本は5安打で得点なく0対2で敗れた。
好投の投手陣とつながらなかった打線
試合後、石井章夫監督は「もうちょっと力を出せるかと思いましたが残念です。こちら側に転んでもおかしくないという試合展開でした。両チームの投手陣が気持ちの入ったいい投球をしていました。嘉陽は3回くらいまで全力投球でよく投げたと思います」と振り返った。
先発の嘉陽は「ちゃんと韓国打線にストレートで勝負できて、感覚も悪くなかったですしいい経験になりました」と話した。初回から飛ばしていった嘉陽。「体力不足で5、6回はバテていました」という熱投だった。また2度のピッチャーライナーについて「フィールディングは自チーム(トヨタ自動車)でも力を入れてやっています。自分が助けられました。今後も投げること以外でも突き詰めていきたいです」と話した。
一方の打線は中国戦に続いて無得点。そんな中でこの日2安打、2戦続けて3出塁の北村は自軍を厳しく評価した。「(韓国との)力の差は歴然としているかなと思います。この野球をしていたら勝てないと思います」。自身の活躍についても「チームが負けたら同じなので、僕自身のことは関係ないです」と悔しさをかみ締めた。
韓国首脳陣は都市対抗から嘉陽を警戒
韓国代表の首脳陣はアジア大会に備え、今年7月に東京ドームで行われた第94回都市対抗野球大会を偵察。その時点で代表24人は決まっていなかったが、候補選手をチェックするため連日1~2試合を見ていた。
特に日本通運戦で6回までパーフェクトピッチングを見せたトヨタ自動車の嘉陽について、リュ・ジュンイル監督は「インコースのボールがいい」とその時から警戒。対策を練るも打ち崩すことはできなかった。
日本のスーパーラウンドの残る対戦はB組1位のチャイニーズ・タイペイ戦。6日の日本時間19時30分(現地時間18時30分)に行われる。
第19回 アジア競技大会
大会期間
2023年10月1日~10月7日
セカンドステージ(グループA)
10月1日(日)13:00 フィリピン 0 - 6 日本
10月2日(月)19:30 日本 18 - 0 ラオス
10月3日(火)19:30 日本 0 - 1 中国
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)
スーパーラウンド
10月5日(木)13:00 韓国 2 - 0 日本
10月6日(金)19:30 チャイニーズ・タイペイ 0 - 2 日本
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)
3位決定戦
10月7日(土)13:00 中国 3 - 4 日本
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)
開催地
中国(杭州)
出場する国と地域
日本、韓国、チャイニーズ・タイペイ、中国、フィリピン、
香港、タイ、シンガポール、ラオス