カルチョ(サッカー)の国のイタリアには、高校野球部というものは存在しない。基本、スポーツは地域のクラブが担うため、野球についても、とくに北部・エミリア・ロマーニャ州を中心に点在するクラブがプレーの場となる。クラブチームは、トップ8球団がプロリーグであるイタリアン・ベースボール・リーグを形成し、以下アマチュアリーグとしてセリエAからCまでに階層化されたリーグ戦を戦う。各球団は、シニアチームのほか、年齢別のジュニアチームを保有し、U-18の場合、今年は59チームが登録されていた。この数は、人口約5000万人の韓国の高校野球のチーム数と大差ない。イタリアの人口が約6000万ということを考えると、エリートレベルにおいては、決して野球大国にひけをとらないほどの裾野をもっていると言えるだろう。スポーツや文化活動に手厚い公的扶助が出るこの国では、トップ選手は、斜塔で有名なピサ近郊にあるティレニアにあるイタリア野球連盟運営のアカデミーで英才教育を受ける。現在はともにメキシカンリーグでプレーしている、生まれも育ちもイタリアで最初のメジャーリーガー、アレックス・リディや元オリックスのアレサンドロ・マエストリも地元クラブからこのアカデミーに送られている。
U-18自体も、レベル別に階層化されたリーグ戦を地区別に争い、トップリーグの上位チームが全国タイトルを争う。今年はエミリア・ロマーニャと並ぶ「野球の町」で、プロの老舗チームももつネットゥーノが優勝を飾ったが、この両地区とほかの地域との競技力格差が大きいのが現在の課題であるという。
野球が決して人気スポーツではなく、プロリーグはあるものの、シーズン40数試合程度のミニリーグしかもたないという点で類似するオーストラリアと同様、全国大会ともなると、メジャーのスカウトが試合には足を運ぶ。ただしこのスカウトは、現地在留の他職をもつアメリカ人がほとんどで、彼らが見るのは、足の速さや球速といったポテンシャル的なものだけである。彼らにスカウトされた選手は先述のティレニアに送られ、さらに夏に数週間同地で行われるMLB主催のアカデミーで、ヨーロッパ、アフリカ各国からの選手とともに腕を競う。ここで、認められた選手は晴れてMLB球団と選手契約を結ぶことができる。
今大会にも、すでにそのパワーと守備力を認められてシンシナティ・レッズとの契約を済ませている一塁手レオナルド・セミナーティや、ブリュワーズと契約し、17歳となる今季はルーキー級のドミニカンサマーリーグで8試合に先発、勝ち星には恵まれなかったものの防御率1.99を残したミッチェレ・ヴァッサロッティらが出場する。
第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ
大会期間
2017年9月1日~9月11日
オープニングラウンド
9月1日(金)22:30 メキシコ 1 - 10 日本
9月3日(日)5:00 日本 0 - 4 アメリカ
9月4日(月)6:00 日本 7 - 2 キューバ
9月5日(火)3:00 オランダ 1 - 3 日本
9月5日(火)22:30 日本 12 - 0 南アフリカ
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
スーパーラウンド
9月7日(木)22:30 日本 4 - 3 オーストラリア
9月9日(土)6:00 日本 4 - 6 カナダ
9月10日(日)2:00 韓国 6 - 4 日本
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
3位決定戦
9月11日(月)1:00 カナダ 1 - 8 日本
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
開催地
カナダ サンダー・ベイ
参加国
グループA
カナダ、韓国、チャイニーズ・タイペイ、オーストラリア、イタリア、ニカラグア
グループB
日本、アメリカ、キューバ、メキシコ、オランダ、南アフリカ