U-18と言えば、高校世代に当たるのだが、実は「高校野球」がある国は決して多くはない。野球が盛んでなければ学校単位のチームは組めないし、そもそもスポーツを学校が担っている国は少数派と言える。
今回の「第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ」の開催国、カナダにも「高校野球」はないと言っていいだろう。隣国アメリカの影響を受け、早くからプロリーグが存在したこの国だが、寒冷な気候のせいもあり、野球は「国技」・アイスホッケー、バスケットボール、カナディアン・フットボールの後塵を拝しているのが実情だ。そういう中、野球競技の場は地域のクラブチームということになる。
トップチームになると、試合出場にいくばくかの金銭も支給されるセミプロリーグのクラブには、その傘下に年齢別のジュニアチームが存在し、MLBスカウトの目の光る中、日々選手たちはスキルアップしている。この国の野球シーズンは、アマチュアで4月末から7月、独立リーグ中心のプロが5月から8月である。9月には早々と「冬」が訪れるこの国で、この時期以降野球ができるのは、この国唯一のメジャー球団、トロント・ブルージェイズの本拠、ロジャース・センターくらいなものだろう。
短いシーズンで目についたU-18の選手は、シーズン後、ナショナルチームのキャンプに参加したり、アメリカの大学を紹介されたりして、メジャー球団との契約への階段を登っていく。近年は、国内に独立リーグの球団も増え、学卒後のプレー先も広がりつつあるため、今後はますますこの世代の野球熱の高まりが予想される。
今大会の注目は、MLBオールスターゲームのプレ・イベントとして行われる高校世代によるホームランダービーにカナダ人としてただ一人参加することになった強打の捕手、ノア・ネイラー(Noah Naylor)だろう。来年のMLBドラフトでの指名も有望視されるこの左打ちのスラッガーのパワーは、U-18侍ジャパンにとっても要注意だ。
最後に、今大会のホストシティ、サンダーベイについて紹介しておこう。トロントと同じオンタリオ州の西部にあるこの町の人口は約10万人。その名の通りスペリオル湖に面した港町である。試合会場のひとつであるポートアーサー・スタジアはかつて、独立リーグの強豪であったノーザン・リーグのウィスキージャックスが本拠として使用していた。そんな野球熱の高い町だけに、地元カナダへの声援は、アウェイチームにとって、大きなプレッシャーになることは必定だ。
第28回 WBSC U-18ベースボールワールドカップ
大会期間
2017年9月1日~9月11日
オープニングラウンド
9月1日(金)22:30 メキシコ 1 - 10 日本
9月3日(日)5:00 日本 0 - 4 アメリカ
9月4日(月)6:00 日本 7 - 2 キューバ
9月5日(火)3:00 オランダ 1 - 3 日本
9月5日(火)22:30 日本 12 - 0 南アフリカ
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
スーパーラウンド
9月7日(木)22:30 日本 4 - 3 オーストラリア
9月9日(土)6:00 日本 4 - 6 カナダ
9月10日(日)2:00 韓国 6 - 4 日本
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
3位決定戦
9月11日(月)1:00 カナダ 1 - 8 日本
※開始時刻は日本時間(サンダー・ベイ:時差-13時間)
開催地
カナダ サンダー・ベイ
参加国
グループA
カナダ、韓国、チャイニーズ・タイペイ、オーストラリア、イタリア、ニカラグア
グループB
日本、アメリカ、キューバ、メキシコ、オランダ、南アフリカ