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"世界の野球"アフリカ球児の熱い青春!タンザニア野球"KOSHIEN”への道「On the way to dream」

2018年6月11日

写真&映像=近藤玄隆、文=長尾耕輔

夢。

みなさんにはどんな夢があるだろうか。

とてつもなく大きな夢、もう少しで届きそうな夢、あと1歩の所で叶わなかった夢。
小さかったあの頃から、今日という日まで、少なからず、1度は夢を持ったことがあるのではないでしょうか。

僕らにとって、夢と希望と目標は、それぞれが繋がりを持っていて。
僕らには、数え切れないほどのたくさんの夢があって。

夢に希望を抱き、そこに向かって目標を立て、突き進んでいく、叶えられない夢はないんじゃないかって思えるくらい、幸せな場所に、僕らは生きている。

今、僕の目の前で、そんな素敵な場所が広がりつつあります。

「○○って知ってる?俺はメジャーリーガーになって、あの選手からホームランを打つんだ!!」
「俺は審判の勉強をしたい!だって、審判がしっかりしてなきゃ、いい試合ができないから!」
「近所の子どもたちで野球チームを作ったよ!練習に連れてきてもいい?」

野球というスポーツをきっかけに、7年前にはなかった夢が、言葉が、希望が、今、ここにある。


メジャーリーガーの名前を書き込んだグローブ。将来、対戦して勝負に勝った時、名前を消していくらしい

野球を教えるということ

“この国に野球は必要なんだろうか“

正直に言うと、初めは、こんな疑問で頭がいっぱいだった。
「何でサッカーじゃないの?」「どうして野球なの?」
いま考えれば、とてつもなく “おこがましい” 考えだったと思います。でも、当時は、不思議で仕方がありませんでした。

バットにグローブ、ボールにベース。
野球には、とにかく “物” が必要で、何より “お金” がかかる。
“日本人の エゴ でただ やらせてる だけなんじゃないか”
そんな罪悪感とも言える感情がずっと心に渦巻いていました。

でも、そうじゃありませんでした。
少なくとも、今はそうじゃない、と僕は感じています。

野球という遊びが存在するのは事実で、やるかどうか決めるのは私ではありません。
国籍や人種によって決めるわけでもなく、やるかどうかはそれぞれが自分自身で決めることです。

遊びからスポーツが生まれ、その時代や状況に合わせて、少しずつ形を変えてきたスポーツ。
それは野球にも言えることで、今現在、ここにも言えること。
誰もが楽しめるように少し形を変えたり、幅を広げたりしてもいい。

むしろ、野球が世界中に深く広く広がっていくには、どんな環境でも誰もが楽しめるよう、柔軟に対応していくことが大切だと思います。

ベースボール5を参考に行った遊び

僕たちの責任

放課後のグラウンド。
甲高く響く打球音、汚れて重くなったボール、全力で走り回る子どもたち、何かの会話や大きな笑い声。

今、子どもたちの選択肢の中に “野球” という遊びが入り込もうとしています。

約7年前、タンザニア野球は日本人によって始められました。
完全なる“ゼロ”からのスタートでしたが、たくさんの方々に支えられ、どうにかここまで歩んできました。

全体的に見れば、国民のたった数パーセントしか野球を知りません。そして、その内のまた少数しか野球をプレーしていません。いくら浸透したと言っても、まだ、そんな状況なのです。

でも、たった数パーセントでも、本気で野球を楽しんでいる子どもたちがいます。
本気で野球を大好きになってくれた大人たちもいます。
この国には、野球に本気で魅了された人たちがたくさんいるんです。

日本人が種を蒔き、ここまで育ててきたタンザニア野球。
だからこそ、ここで野球を始めた人たちも、これまで野球を続け、支えてきてくれた人たちも、みんながタンザニア野球を最後まで見守っていく責任があると私は思います。
もちろん、私自身も、最後の最後まで、とことん付き合っていく覚悟です。

歩むべき道へ

懐かしい。

この国にいるとそんな気持ちが湧いてきて止みません。
忘れかけていた気持ちが蘇ってきます。

タンザニアの人たちはよく話し、よく笑い、感情を素直に、そして、豊かに表します。
ご飯を作っていても、ふとした会話も、いつも本当に楽しんでいます。

スポーツをしている時も同じです。
常に会話をして、うまくいってもいかなくても、最後はみんな笑っていて、見ているこっちも楽しくなります。

“楽しむ”

こんなこと誰だって知っていて、分かってるはずです。
スポーツや運動だって、普通、やらされるものではないし、無理にするものでもない。ごく当たり前のことです。

でも、いつからか、その大事な気持ちが二の次になってはいないでしょうか。

勝利至上主義への傾き、勝ちにのみこだわり、勝つためならどんな手段でも使う。

いつからか、こんな考えや姿勢が正当化され、僕たちにとって“普通”となってはいないでしょうか。

みんながみんな、そうじゃないのは分かっています。
でも、今考えれば、いつからか、競争の中ばかりで “やらされる” 人が増えたんじゃないでしょうか。

僕らが忘れかけているもの、忘れちゃいけないもの。
本来あるべき姿に戻るきっかけがここにはあるような気がします。

少なくとも、野球の歴史だけ見たら、日本はタンザニアよりも進んでいると思います。
でも、ここから学ぶこと、学ばなきゃいけないことがたくさんあるのもまた事実です。

“どこか大切なところで道を間違えたのかもしれない”

なんて、言わないように、今こそ、今だからこそ、原点を見つめ直す時なのではないでしょうか。

僕らもまた、誰もがスポーツを楽める ”素敵な世界” に向かって、果てしない道の途中にいるのです。

On the way to dream

全8回にわたり、タンザニア野球の現状や僕が感じた想いをここで伝えてきました。
もちろん、これだけが全てという訳ではありません。
様々な視点、角度、人によって、違った面が見えてくると思います。
でも、ここタンザニアで野球に熱中する人たちがいること。
それを支えるたくさんの方々がいること。
これだけは、紛れも無い事実です。

“これから先、いったいどんな道を歩んでいくのか”

 迷ったり、立ち止まったり、時には、後ろを振り返るのも必要かもしれません。

でも、これだけは1つ。
大人も、子どもも、タンザニア野球も、みんなが自分の道で、それぞれの道で、最高に輝くことを心から願っています。

まだまだ始まったばかり。

僕らはまだ夢の途中。

著者プロフィール
長尾 耕輔
1993年12月31日生
2016年6月より青年海外協力隊(体育)としてタンザニアの中等学校へ派遣され、体育教科の指導・普及のために活動を行っている。赴任先の中等学校で、体育と共に野球の指導・普及活動にも携わり、運動を通じて、子どもたちが“人として”大きく、深く、広く、成長できるよう、活動に取り組んでいる。

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