「第12回 BFA U18アジア選手権」に出場している侍ジャパンU-18代表は、スリランカとの一次ラウンド初戦を15対0の6回コールドで開幕連勝。A組では韓国とともに2勝として、明日の直接対決を残して、スーパーラウンド進出を決めた。
打線は前日の香港戦に続き、12安打(長打8本)と活発で、単打性の当たりでも、相手野手の動きを見て二塁へ進塁する積極走塁がこの日も目立った(二塁打6本)。投げては先発の浦和学院・渡邉勇太朗が3回無失点(6奪三振)に抑えると、2番手の左腕の高岡商・山田龍聖が2回をパーフェクトに抑え、6回の1イニングは星稜・奥川恭伸が三者凡退。3投手よる「ノーヒットノーラン」を達成している。
この2試合、18人のメンバーの中で、最もフル回転しているのは野尻幸輝と言える。前日の香港戦では「六番・投手」で3回をパーフェクトに抑え、4回から一塁守備に就いていた。スリランカ戦も「六番・DH」でフル出場。2安打3打点と好調をキープしている。
前日からの疲れを聞けば「全然、ないです!!」と涼しい顔で答えた。今夏の甲子園で3回戦に進出した木更津総合でも「四番・投手」。投打で存在感を発揮してきたが、それが自ら置かれたポジションであると自覚している。
「チームの勝利のために、投打で貢献できて当たり前。自分はその役割ができるからこそ、選んでいただいたと思っている」
今夏の東千葉大会までは背番号「5」。甲子園で初めて背番号「1」を着けたが、さすがに大会後は疲労蓄積により、右ヒジに痛みが出ていた。8月25日、高校日本代表合流後は永田裕治監督の計らいにより、投球練習は控えめにし、打撃に集中していた。宮崎入りした31日の宮崎県高校選抜との壮行試合が、侍ジャパンとしての初登板だった。「休むことができた。ありがたかったです」。
木製バットでも鋭い打球を連発しているが、これには確固たる技術が裏付けとしてある。木更津総合では基本的に金属バットしか使用せず、木製の練習を始めたのは「甲子園後」というから驚きだ。「逆方向を意識しています。それが結果的にインサイドアウトのスイングになる。真ん中のボールはセンター返し、内角のボールに対しては、内からバットを出すようにしています」。178センチ78キロと恵まれた体格からの鋭いスイングが持ち味で、永田監督が言う「振ってタイミングを合わせる」という指示を忠実に守っているのも、好結果につながっている。
前日、永田監督は野尻の投打にわたる活躍ぶりに「かなり、信頼している」と絶賛している。指揮官の言葉を受けて、野尻は姿勢を正した。「期待にこたえたい。期待にこたえることで、監督の信頼が得られると思っています」。
明日はA組1位をかけた韓国戦だ。「昨年のワールドカップでは負けたと聞いています。リベンジをかけて、先輩たちの思いを背負って、チームに貢献できる一打を打ちたい」。改めて抱負を聞かれると、キッパリと答えた。
「必ず、自分のバットで勝ちます!!」
監督・選手コメント
永田裕治監督
「バッター陣はフライが多かった。明日は誰が投げてくるか分からないが、フライを上げて一つで(アウトで)はなく、強い打球を心掛けて、捕って、投げて、捕っての3段階を踏ませたい。打てないときこそ足が武器で、(打撃では)反対方向。球数制限があるので、ほうらそう、と。そうすることによって、良いピッチャーは代わってくれる。(壮行試合、練習試合を通じて)大学生は簡単に三振しなかった。当てにいくのはなく、振った上でのファウル。簡単に打ち取れられないようにしたい。(明日の韓国戦は)中盤の大きなヤマ場。ゴールではないが、選手たちもテンションが上がってくると思う。昨年は世界大会ですが、負けているので、先輩たちの思いも持って皆で戦いたい」
渡邉勇太朗
「状態は良かったから、ヒットも打たれなかった。ただボール球が多くて、無駄な四球を出したところが課題。ストレート中心で攻めていこうと思ったが、当てにきたので、追い込んでから変化球を使った。今日の対戦相手で(3回)40球は多い。改善していきたい」
根尾昂
「(3打数無安打)打てる球を打ち切れなかった。昨日、打っている分、(スイングが)大きくなった。韓国は一つひとつきっちりやってくる、かなり手強い相手。1対1の勝負になるかもしれないが、(捕手と内野手を含めた)6対1に持っていったり、チームとして戦っていけば、活路、スキも出てくる。全員野球で勝ち切りたいと思います」
吉田輝星
「大会前から韓国とチャイニーズ・タイペイを倒すと決めていたので、出たときには、自分のピッチングをしたい。韓国打線は日本みたいにシャープなスイングではない。大きなスイングをしてくるので、下からバットが出てくる打者については、自分の伸びてくるボールは生きてくると思う」
柿木蓮
「投げたくてウズウズしています。球数制限については監督が決めることで、その起用にベストの形でこたえるのが、選手の役割です。(同部屋の吉田とも)『いつ投げるやろうな~』と言い合っていて、投げる試合では『バチバチで行こう』と話しています。どこでもいけるように準備し、100パーセントで抑えたい。(昨年)先輩が勝てなかった相手に、自分たちが勝つ」
第12回 BFA U18アジア選手権
大会期間
2018年9月3日~9月10日
グループA
9月3日(月)18:00 日本 26 - 0 香港
9月4日(火)18:00 スリランカ 0 - 15 日本
9月5日(水)18:00 日本 1 - 3 韓国
スーパーラウンド
9月7日(金)18:00 チャイニーズ・タイペイ 3 - 1 日本
9月8日(土)18:00 日本 (中止) 中国
3位決定戦
9月10日(月)13:00 日本 14 - 1 中国
開催地
日本(宮崎)
出場する国と地域
グループA
日本、香港、韓国、スリランカ
グループB
中国、チャイニーズ・タイペイ、パキスタン、インドネシア