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「高校卒業後即プロ」への道を目指すU-18代表戦士の顔ぶれを紹介

2015年10月19日

 今年、「第27回WBSC U-18ベースボールワールドカップ」で準優勝し、日本中に感動を与えた「侍ジャパンU-18代表」20名。そのうち現在1年生の清宮幸太郎(早稲田実・内野手)を除く3年生19名中9名が、10月22日(木)に開催される「2015年 新人選手選択会議(ドラフト会議)」における指名資格となる「プロ志望届」を提出した。 その内訳は投手6名、捕手1名、内野手1名、外野手1名。今回は9名の顔ぶれと、「侍ジャパンU-18代表」でのプレーを中心とした、この夏の活躍を振り返ってみたい。

ドラフト目玉に豪腕、打棒発揮・・・多士済々の投手陣

 今回の投手陣のうち、ドラフト会議の目玉として注目されるのが小笠原慎之介(東海大相模)。1年春から140キロ台を計測し、3年春までに最速140キロ後半まで球速を伸ばした速球派左腕は、春の関東大会準決勝で浦和学院(埼玉)に2ホーマーを浴びて敗戦投手となったことを機に投球術へも目を向けることに。チェンジアップを習得し、神奈川大会では27イニングでわずか1失点と抜群の安定感を見せて激戦を制すると、甲子園でも5試合に登板し、数々の窮地を潜り抜け、優勝投手となった。
 そして第27回WBSC U-18ベースボールワールドカップでは制球力重視の投球で快投。まず8月30日の1Stオーストラリア戦で6回9奪三振の好投を見せると、スーパーラウンドのキューバ戦では2回2奪三振と計8回を投げ、1失点、11奪三振と持ち味を示した。国体では肘の故障で未登板に終わったが、プロ入りを果たした暁には1年目から元気な姿を見せてくれることだろう。

 「侍ジャパンU-18代表」の中でプロ志望届を提出した投手陣に目を転じると、佐藤世那(仙台育英)が、第27回WBSC U-18ベースボールワールドカップを通じ最も株を上げた。
 故障に苦しみ、宮城大会前には登板も不安視された佐藤だが、徐々に調子を上げ決勝戦では完封勝利。甲子園ではチームを決勝戦に導く粘りの投球を見せた。そして侍ジャパンU-18代表ではエース格として活躍。仙台育英のチームメイト・郡司裕也の頭脳的なリードにも導かれ、まず1Stラウンドのアメリカ戦で完封。さらにスーパーラウンドのカナダ戦で13奪三振、2失点完投勝利と決勝進出への大きな原動力となった。球速のあるフォークと、大きく落ちるフォークという2種類のフォークとストレートのコンビネーションは、プロの世界でも十分通用するだろう。

 168センチの左腕・成田翔(秋田商)は、秋田大会では39回を投げ55奪三振とドクターKぶりを示すと、甲子園でも2回戦・龍谷(佐賀)戦での16奪三振をはじめ、計26回3分の2を投げ、30奪三振、防御率2.36と華々しい記録を残した。そして侍ジャパンU-18でも、メキシコ戦で先発し、4回を投げ7奪三振と好投を見せた。この間、小笠原慎之介からチェンジアップを教わり、自分なりの握りとボールの抜き方を覚えた成田はこの新球を9月27日の第70回国民体育大会の九州国際大付戦で実践。面白いようにはまり11奪三振、2安打完封勝利でさらに成長した姿を見せている。進化し続ける左腕の今後に注目だ。

 最速152キロの豪腕・髙橋純平(県立岐阜商)は岐阜大会開幕2日前に起こした肉離れの影響で大会1試合登板に終わったが、侍ジャパンU-18代表では見事な復調を見せてくれた。大会前の侍ジャパン大学代表との壮行試合では、140キロ後半の速球を披露し1回2奪三振。第27回WBSC U-18ベースボールワールドカップ期間中では主にクローザーを任され、3試合を投げて無失点と結果を残した。「まだ100%の投球ができず、自分の力不足を実感した大会。他のメンバーの投球を見ていて上野翔太郎(中京大中京)の投球が理想です」と語った髙橋。今は体作りを行いながらプロ入りへ向けた準備をしている。

 左腕スリークォーターからのくせ球で専大松戸、敦賀気比を破る原動力となった花巻東・高橋樹也(花巻東)は日の丸を背負っても落ち着いたマウンド捌きと巧みな制球力で活躍。主に中継ぎとして3試合に登板した高橋は6イニング7奪三振無失点の快投を見せた。制球力が高い左腕として上の世界でも大きく評価されそうだ。

 投手登録だが、打者として第27回WBSC U-18ベースボールワールドカップにおいて大いに躍動したのは勝俣翔貴(東海大菅生)だ。第1戦のブラジル戦で走者一掃の適時三塁打を放つと、チェコ戦では試合に西谷浩一監督から「ヘッドの重みを利かせて打ってみたらどうだ。そして打つ前にバットをプラプラさせてみたらどうだ」とアドバイスを受け、リストを柔らかく使ってチーム第1号となる本塁打。その後も快打を続け、打点王、首位打者の二冠を獲得。打者として最も進化を見せた選手であった。

野手陣にもストロングポイントを持った選手が

 勝俣を含め野手陣もストロングポイントを持った選手たちが侍ジャパンU-18代表後にプロへの道を志す。

 捕手では堀内謙伍(静岡)がプロ志望届を提出。強肩強打の捕手として下級生の時から評判だった堀内は最終学年になると広角に鋭い打球が打てる好打者へと成長。捕手としてもスローイングに確実性が増し、投手を盛り立てるリードで2季連続甲子園に出場に貢献した。第27回WBSC U-18ベースボールワールドカップでは打率.438、5打点の活躍を見せ、さらに周囲の評価を高めている。

 夏の甲子園で3本塁打を放つだけではなく、守備範囲の広い遊撃守備、俊足を披露し、高校生内野手としてトップレベルの実力を示した平沢大河(仙台育英)は侍ジャパンU-18代表では主に三番打者として活躍。8月26日に行われた侍ジャパン大学代表との壮行試合では、最速154キロ右腕・田中正義(創価大3年)の速球に振り遅れることなく、第1打席で右前安打を放ち、第27回WBSC U-18ベースボールワールドカップでは打率.297だったとはいえ、10打点を記録し、クリーンナップの責務を果たした。「逆方向へ強い打球を打ち返す」持ち味はプロの世界でも活躍へのアドバンテージになるだろう。

 最後に紹介するのはオコエ瑠偉(関東一)。甲子園では2回戦の高岡商戦で1イニング2本の三塁打。3回戦の中京大中京戦で背走しながらのスーパーキャッチ。準々決勝の興南戦で決勝2ランを放つなど、走攻守すべてにおいて躍動。
 侍ジャパンU-18代表入り後も、西谷監督から「スイング軌道など細かいことを気にせず、自分のスイングをすることを心掛けなさい」というアドバイスを軸足修正に活かしたオコエは、33打数12安打、打率.364と1番ないし6番打者で活躍を見せ、守備・走塁でも次元が高いプレーを披露。第27回WBSC U-18ベースボールワールドカップ最優秀守備賞の栄冠を手にした。
 国際大会によりさらに評価を高め、ドラフト上位候補に躍り出ているオコエ。どの球団がオコエとの交渉権を獲得するかも含め、10月22日の動向には注目である。

 今回の代表選手たちにとって、「侍ジャパンU-18代表」という貴重な経験を積んだ日々は、必ず将来の野球人生に活きるはず。高卒プロを志す選手たちは後に続くチームメイトや同年代選手の先鞭となる活躍に期待したい。そして別の道を選んだ選手たちには世代別代表で「侍ジャパン」ユニフォームを身にまとい続け、「侍ジャパントップチーム」までのぼりつめる事ができるか注目したい。

侍ジャパンU-18代表 2015

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第27回 WBSC U-18 ベースボールワールドカップ

大会概要 チケット 放送予定

壮行試合

開催概要 チケット 放送予定
8月26日(水)18:00 侍ジャパンU-18(高校)代表 2 - 9 侍ジャパン大学代表
阪神甲子園球場

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