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侍ジャパンインタビュー

侍ジャパントップチーム稲葉篤紀監督インタビュー「とにかく活気のあるチームに」

2017年11月6日

 2020年東京五輪での金メダル獲得へ向けた、新生侍ジャパンの戦いがいよいよ始まる。初陣である「アジアプロ野球チャンピオンシップ2017」(11月16日~19日、東京ドーム)を前に、チームを率いる稲葉篤紀監督に大会への意気込み、そして今後のチーム作りについて聞いた。

――侍ジャパントップチームの監督就任会見が行われたのが7月31日。そこから約2カ月が過ぎましたが、気持ちの変化はありましたか?
「それはありますね。試合の見方も非常に変わった。今まで以上に選手の特徴を把握しようという目で見るようになった。みなさんからの反響、『東京オリンピック頑張って!』と声をかけられるようなことも増えました。その部分でのプレッシャーというものも感じます」

――日の丸を背負う重圧はもちろんあるでしょうが、同時に期待感、ワクワクする気持ちもあると思います。現段階ではどちらの気持ちの方が大きいですか?
「ワクワクした気持ちとプレッシャーが、今は半々ですね。今後、侍ジャパンのユニフォームを着て、2020年が近づくに連れてプレッシャーの方が強くなって、徐々にワクワク感は減って来るんでしょう。でも今は、3年後にはこんな感じにしたい、ああいう風になればと、いろいろと思い描いてワクワクしています」

――まずは11月のアジアチャンピオンシップで『稲葉ジャパン』がスタートします。今回は24歳以下もしくは入団3年目以内という条件付きでしたが、メンバー選考の上で何を重視したのでしょうか?
「基本的には1軍で活躍している選手。何よりもまず、“勝ちたい”という思いがある。そのためのメンバーを選んだ。最初に候補選手を多く挙げて、そこから打順、ポジションを考えながら選んでいった。そこで足りない部分をオーバーエイジでカバーするという形でしたね。ですので、今回選んだ選手以外にも良い選手がいっぱいいますし、実際にギリギリまで悩んだ選手もいる。うれしい悩みではありましたね」

――投手11人を選びましたが、決勝までの3試合を想定しての起用法は決まっていますか?
「投手陣に関しては一応、先発、中継ぎ、抑えと分けて選びました。そこで調子のいい選手を使って行きたい。日本シリーズで疲れている選手もいると思うので、その辺りの状態も見極めて行きたい。今の段階では誰をどの試合に投げさそうというものは決めていません」

――先発もそうですが、抑えのポジションを誰に託すのかも大きなポイントになるかと思いますが?
「抑え候補としては、山﨑(康晃)投手、又吉(克樹)投手の2人を選びました。建山投手コーチとも話しましたが、やっぱり抑えというものは経験がないと難しい。誰もができるポジションじゃない。そういう意味では専門職の投手を選んだ方がいいと考えています」

――小久保前監督も最終的には中継ぎ投手を多く選んだメンバーでWBCを戦いましたが、その中での手応えなどもある?
「もちろんそうですね。中継ぎでも抑えでも、ランナーがいる場面でも行けるのか、イニングまたぎでも投げられるのか、満塁の場面で登板しても押し出しはないとか、いろんなシチュエーションを考えながら選びました」

――その中で、高卒ルーキーの堀瑞輝投手を抜擢しましたが?
「彼は1年目から中継ぎだけでなく先発も経験して、投げる球というのが見た目以上に相手バッターが打ちにくそうにしていた。何かを持っている、という期待を持たせるようなピッチャー。堀投手に関しては、1軍での経験に加えて、将来性も含めて選びました」

――登録上、4人の捕手を選びましたが?
「近藤(健介)選手は捕手では使わないので、3人のつもりです。ですので、外野は4人という計算ですね。メンバー表だけを見ると、外野手が少なく見えますけど、近藤以外にも外野を守れる選手がいるので、その辺は心配ないです」

――過去の例を考えても、国際大会においての捕手の重要性は、より一層増してくるのではと思いますが?
「捕手は非常に大事だと思います。捕手が一度パニックになってしまうと収拾がつかなくなってくる。今回のメンバーでは、オーバーエイジで甲斐(拓也)選手を選びました。今年1年、彼の働きを見ていて、肩の強さ、フィールディングも含めて、素晴らしく成長したと感じた。侍ジャパンとして経験を積んでもらいたいのと同時に、24歳以下という若い選手たちを引っ張って行ってもらいたいと思っています」

――内野陣では、京田陽太、源田壮亮のルーキーコンビに期待したいところですが?
「いやもう、すべての面で期待しますよ。守備がいいですし、走れるし、打撃もしぶとい。捕手もそうですけど、ショートというポジションも非常に大事。野球をよく知っておかないといけないですし、内野の中心としてリーダーシップも発揮してもらいたい。小久保監督時代は坂本(勇人)選手がずっとショートを守りましたが、彼も侍ジャパンに最初に選ばれた頃はまだ期待の若手という部分がありましたけど、日本代表として試合を重ねていく中で、みんなに声をかけるようになりましたし、チームの先頭に立って戦うようになって、非常にたくましく感じた。今回選んだ京田、源田の2人も、まだプロ1年目ですけど、将来的には坂本選手のように育ってもらいたいですね」

――打線を考えると「4番・山川穂高」が有力になるのではと思いますが?
「そうですね。24歳以下の選手の中で、1軍でファーストを守る、ましてや4番を打つ選手というのが非常に少ない。その中で誰を、と考えた時に、西武で中村選手を抑えて4番に座って活躍した山川選手の存在は大きかった。あのフルスイングというのは、今後も含めて非常に楽しみですね」

――大会を前に11月9日から13日まで宮崎で合宿を行いますが、そこで確かめたいことは?
「僕自身の采配も含めて、自分が今、理想としている打順だったり、投手の使い方だったりを確認するという作業になると思います。練習試合を2試合させてもらいますし、その中でいろいろと試しながらやっていきたい。そこで選手たちの試合勘というものも、なかなか難しいですけど、取り戻してもらいたい」

――チーム集合時に最初に侍ジャパン監督として選手たちに伝えたいことは?
「やはり侍ジャパンのトップチームとして、野球界の鑑であれ、というものは改めて伝えたい。今回は24歳以下ですけど、その精神は今後も伝えていきたい。大会が終わった後でも、侍ジャパンの肩書というものは常について回る。その時に、さすが侍ジャパンに選ばれる選手だなと思われるようになってもらいたい」

――小久保前監督時代から侍ジャパンが常設化されましたが、それによって日本が強くなったという実感はありますか?
「毎年、定期的に海外チームとの試合を組んで、選手たちが集まる機会が増えた。国際経験を積むという意味で非常に大きいですし、選手同士がコミュニケーションを取る機会が増えたことで、パッと集まってもすぐにチームが一つになれる。結束力という意味で、常設化したことは非常に良かったと思います」

――常設化された中で、選手たちは常に『日の丸の重み』を感じながら戦わなくてはなりません。その経験も若い選手たちに伝えていかなくてはならない?
「はい。僕もそうでしたけど、国際大会では失敗しないように、安全に安全に、無難に無難に、と思ってしまう。でもそれでは最後のところで勝ち切れない。日の丸の重圧に関しては選手たちも分かっていると思うし、そこに立ち向かって行ってもらいたい。失敗してもいいから『思い切って行け!』と。そこは周りができることですし、まだ年齢的にも選手たちに近く監督である僕ができること、僕の役目であると思う。選手たちには『行ってこい!』と背中を押したい。それで失敗したら僕のせい。責任は僕が持つ。だからとにかく『暴れて来い!』と。そういうチームにしたい」

――今後、『稲葉ジャパン』をどのようなチームにして行きたいですか?
「とにかく活気のあるチームにしたい。前回(小久保ジャパン)もそうだった。メチャクチャいいチームだった。監督、コーチ、選手と、みんなが一つになっていたし、本当に一体感があった。小久保監督は非常にいいものを残してくれました。その土台がある。稲葉ジャパンだからと言って、イチから作るのではなく、これまで培ってきたものを継承してチームを作っていきたい。人選や試合中の采配には僕の色が出ると思いますが、侍ジャパンに対しての考え方、チーム作りの方法など、小久保監督が作り上げて来たものはしっかりと継承していきたい」

――まずはアジア王者になることを期待しています。
「ありがとうございます。全力で頑張ります」

ENEOS アジア プロ野球チャンピオンシップ2017

大会概要 チケット  出場選手 放送予定

大会期間

2017年11月16日~11月19日

予選
11月16日(木)19:00 日本 8 - 7 韓国
11月17日(金)19:00 韓国 1 - 0 チャイニーズ・タイペイ
11月18日(土)18:30 チャイニーズ・タイペイ 2 - 8 日本

決勝
11月19日(日)18:00 日本 7 - 0 韓国

開催球場

東京ドーム

出場チーム

チャイニーズ・タイペイ代表、韓国代表、日本代表

侍ジャパン選手紹介

2017年11月6日 先発投手編
2017年11月7日 中継ぎ・抑え投手編
2017年11月8日 捕手編
2017年11月9日 内野手編
2017年11月10日 外野手編

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