文・写真=小島尚幸
Boa tarde!!
こんにちは!
少し遅くなってしまいましたが、新しい年を迎え、1月中旬から私の配属先であるアニャンゲーラ日系クラブも活動が始まりました。ブラジルの野球は、夏休みが終わるこの時期辺りから活動が始まるチームが多いようです。
新チーム始動
それに伴い、新チーム始動!ということにもなりました。ブラジルでは2月から新学期となるため、このタイミングでチームの編成も変わりました。年齢別でいくつかのカテゴリーに別けられており、2年ごとに上のカテゴリーに進んでいくという仕組みになっています。
今年から私は、13歳~14歳のプレジュニアと言われるカテゴリーの監督をさせていただくことになりました。
新チームが始まる前、選手たちに、どんな目標を持っているか、どこのポジションを守りたいかなど様々な質問をしました。すると、選手からは「試合でもっと勝てるようになりたい」「僕もピッチャーをやってみたい」など、とにかく積極的で目標をしっかり持っているのを感じ取ることができました。これからこのチームが成長していくのが非常に楽しみだと感じています。
課題と解決策
しかし、課題や問題も多くあるのも事実。元々このカテゴリーの人数は8人しかおらず、試合の時は下のカテゴリーや他チームから助っ人を借りるなどサポートしてもらう必要があります。練習においても、それぞれ選手や家庭の都合もあり全員が揃うことはなかなかありません。少人数では満足な練習ができないことも多く、基礎的な練習ばかりになってしまいます。
こういった場合、私たちのクラブは違うカテゴリーと一緒に練習することもよくあります。15歳~16歳のジュニアと言われるカテゴリーと一緒に練習し、試合形式の練習など多く取り入れ、試合勘を養っています。また、ジュニアのカテゴリーはキューバ人が指導に当たっているため、キューバ式の指導、そして私が学んできたことを生かした日本式の指導も取り入れて指導に当たっています。
上級生のカテゴリーと一緒に練習することは、レベルの差が出てしまうといったデメリットがあるものの、レベルの高い選手と一緒に練習することで、より多くのことを吸収できるといったメリットもあると考えています。また、私が他のカテゴリーに指導できる機会も増え、その選手たちにとってもレベルの向上に繋がるより良い練習ができるのではな いかと思っています。
現状、選手が少ないということもありこのような練習形態となっていますが、キューバ式や日本式の指導で選手が混乱しないよう指導していくこと、それぞれの選手に合った指導をしていくこと、そしてメリット、デメリットを勘案しながら選手たちにとってより良い練習環境を整えていく必要があると感じています。そして、前回でも紹介したようなブラジル野球の特徴である“融合された野球”を少しずつ確立していきたいです。
好きなことはとことんやる!
野球はもちろん、スポーツの練習において、好きな練習メニューもあれば嫌いな練習メニューもあるのではないでしょうか?これはブラジルに限らず日本やどこの国においても当てはまることでしょう。
このチームはとにかく走ることを取り入れた練習メニューが嫌いです(笑)。手を抜く場面もしばしばあり、注意することもよくあります。しかし、この練習がどうして大事なのか説明し、伝えることで選手たちは素直に聞き入れ、しっかりと取り組んでいます。
また、好きな練習はとことんやるのがブラジルの子供たち。全体の練習が終わった後、私を呼び止め「もっともっとノックを受けたいから打って!」「もっとバッティングをしたいから投げて!」と目を輝かせながら言ってくる子供たち。日が暮れるまで熱心に練習し、教わったことを一生懸命やっています。そういった姿勢を見ると私ももっと選手のために頑張りたいと思い、とても嬉しい気持ちになります。
嫌いな練習と好きな練習に対するモチベーションの差は大きい気もしますが、もっともっと上手くなりたいという気持ちはとても伝わってきます!
新チームが始まり、多くの期待がある一方で課題も見えてきました。少しずつ解決策を見出しながら、選手たちと一緒になって良いチーム作りをしていきたいと考えています。
今後もチームの活動や様子、ブラジル野球などをお伝えしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。
ありがとうございました。
- 【第9回】2019年12月9日 「目標に向かって」
- 【第8回】2019年9月20日 「一年を振り返って」
- 【第7回】2019年8月2日 「JICAボランティアによる野球教室及び親善試合」
- 【第6回】2019年5月10日 「ブラジル野球の新たな試み(2)」
- 【第5回】2019年4月4日 「ブラジル野球の新たな試み(1)」
- 【第4回】2019年3月5日 「新チーム始動後に見えた新たな課題」
- 【第3回】2019年2月7日 「融合された野球」
- 【第2回】2018年12月27日 「ブラジル野球を取り巻く環境」
- 【第1回】2018年12月4日 「ブラジル野球の歴史」
著者プロフィール
小島 尚幸
1991年4月23日生
第91回全国高等学校野球選手権大会に埼玉県代表 聖望学園高等学校の三塁手として出場。2018年7月よりJICA日系社会青年ボランティアとしてブラジル・サンパウロ州のアニャンゲーラ日系クラブへ派遣され、少年少女への野球の指導や普及活動を行っている。日系移民が広めてきた野球文化の継承、野球を通しての人間形成を目指し活動している。
- 世界の野球 可能性を秘めたコロンビア野球
- 世界の野球 力戦奮闘ブラジル野球!~日系移民が紡いできた夢~
- 世界の野球 東欧ブルガリア -野球事情とその展望-
- 世界の野球 ヒマラヤを北に臨む国 ネパールの野球
- 世界の野球 清水直行 ニュージーランド野球の世界挑戦記
- 世界の野球 アジア選手権 日本人監督の挑戦 インドネシア編
- 世界の野球 アジア選手権 日本人監督の挑戦 パキスタン編
- 世界の野球 アジア選手権 日本人監督の挑戦 番外編 タイ野球の歩み
- 世界の野球 日本人指導者の挑戦 香港野球編
- 世界の野球 フランス通信~フランス野球・ソフトボール連盟より~
- 世界の野球 南の楽園フィジーのHAPPYベースボール通信
- 世界の野球 "アフリカからの挑戦・赤土の青春" ウガンダベースボール
- 世界の野球 パラオ共和国 よみがえれ南洋の「ヤキュウ」魂
- 世界の野球 アフリカ球児の熱い青春!タンザニア野球“KOSHIEN”への道"
- 世界の野球 受け継がれるSri Lanka野球の物語~光り輝くスリランカ野球の夢~
- 世界の野球 セルビア野球の挑戦と葛藤 バルカン・ベースボール事情あれこれ
- 世界の野球 ケニア野球、一歩一歩 元独立リーガー日本人青年監督の奮闘!
- 世界の野球 欧州の野球事情
新着記事
ジャパン 関連記事
世界の野球 関連記事
"世界の野球"ヒマラヤを北に望む国 ネパールの野球「ネパール野球25周年日本ネパールスポーツ交流プログラム2024-2025」2024年9月2日 |
"世界の野球"ヒマラヤを北に望む国 ネパールの野球「学校スポーツ連盟との協定」2024年4月12日 |
"世界の野球"ヒマラヤを北に望む国 ネパールの野球「1st National Baseball5 Championship 2024」2024年1月15日 |
"世界の野球"ヒマラヤを北に望む国 ネパールの野球「目指せ!体験から広がる笑顔の輪」2023年11月28日 |
"世界の野球"ヒマラヤを北に望む国 ネパールの野球 「福島県×ネパール シャクナゲ交流」2023年10月2日 |