文=大嶋賢人
Bula! こちらはFiji Baseball & Softball Association(フィジー野球ソフトボール協会)の大嶋賢人と申します。
フィジーはニュージーランドの北東に位置する333もの島からなる島国です。
Bula-Japanでお馴染みのFiji~日本間直行便も今年7月から再開しました。
フィジーと言えば南国のリゾート。というイメージを持つ方も少なくないかもしれませんが、ラグビー大国なんです。
ボールが一つあれば皆んなが集まる。ボールがなければペットボトルでもいい。
時間と場所さえあればラグビーをしている。
2016年リオ五輪で7人制ラグビーで金メダルを獲得したのは記憶に新しい。
人口約90万人の国が世界を相手に金メダルを取ったその日、フィジーの国中の人が仕事をせずにテレビにかじりついたそう。
当時の政府が7人制ラグビー優勝を記念し7ドル札を特別に発行したほど国中がラグビー一色になったそう。
私の同僚は優勝を決めた試合をYoutubeで見る度に涙を流しています。
そんなCrazy about Rugbyな国フィジーの野球事情をこれからお伝えして行きます。
前任の白川さんも寄稿されていたので彼の記事の頃からの変わったものや変わらないものもお伝えしていければと思います。
第一回の今回は、そもそもフィジーで野球やっている人がどれだけいるのかというお話をしましょう。
“競技人口”という言葉にしてしまうと定義が難しくなるので今回は簡単に「よく野球やっているよね」くらいのレベルを野球人としてカウントすることにします。
現在フィジー野球協会が競技普及のために行なっている活動で関わっている子ども達を“野球の競技者”とした場合、コミュニティ5ヶ所それぞれ多めに見積もって50人ずつで250人程度。
少しだけ再開できたスクールプログラムで関わった学生100人程度。
どんなに多く見積もっても350人程度でしょう。しかも頻度はまちまち。
毎日練習に来る子ども居れば“1ヵ月は見てない”なんて子もいます。
現在は首都スバ市でしか巡回活動が出来ていないこともありますが、道具や指導者の問題など様々な要因があっての現状です。
特にスバ市は年間240~300日ほど雨が降る高温多湿な地域で常にジメジメしています。
湿度はグローブや硬球の大敵です。
前任の頃は学校の授業で普及活動を行っていたものの現在はスクールプログラムは殆どせずコミュニティ単位で巡回指導しています。
野球協会も「これからは世界」というようにナショナルチームに目を向けているようで私もナショナルコーチとしての活躍が期待されています。
国内に野球道具を扱っている店は無く、野球協会で保有している道具も殆どが海外からの支援によって頂いたものです。
ゆくゆくはフィジー全土で野球の普及活動をしたいと考えているところです。
最近嬉しいニュースが。
2ヶ月ほど前に首都から7時間ほどの山奥の村で“ソフトボール大会”があると招待されたのです。
日本の公益財団法人OISCAの交流プログラムの一環で「試合に向けて一時的に練習していた」というお話でしたが30人近くの小学生がソフトボールを笑顔で追いかけていました。
私が現地に行くまではバットも無くヤシの木でボールを打っていたとか。
この話を聞いたときに「道具の有無は言い訳にならない」と教わりました。(グローブやバットを数本寄付しました)
他にも離島の学校で野球を楽しんでいる学生や先生の姿が友人から送られて来ました。
「首都でしか野球(ソフトボール)はやっていない」と思い込んでいたのが、自分たち以外にも野球をやっている人が居るということが分かったのが大きな収穫です。
また協会のHPに「野球をやりたい」という趣旨の連絡も増えてきました。
2000年から始まった野球協会の活動が少しづつ認知されて来た結果でしょうか。
現在は来年1月に控えたU12 Oceania Championshipに向けたナショナルチームの選手選抜を行なっているところです。
次回はナショナルチームについてお伝えします。
日本から10時間の太平洋の島国フィジーでも野球をやっていると言うことを知って頂けたら嬉しいです。
これから明るくのんびりなフィジー人の野球事情をお伝え致しますのでのんびり気長にお待ちください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
これからどうぞ宜しくお願い致します。
NO SWING
NO HIT!!!!!
- 【第7回】2019年12月11日 「次の世代へ繋ぐバトン」
- 【第6回】2019年7月31日 「U12W杯~オープニングラウンドを終えて~」
- 【第5回】2019年7月25日 「U12フィジー野球代表 世界大会へ出発」
- 【第4回】2019年6月27日 「遂に開始 クラウドファンディング」
- 【第3回】2019年3月25日 「Fiji野球 世界へ挑戦!?」
- 【第2回】2019年1月28日 「ナショナルチームの活動」
- 【第1回】2018年12月7日 「フィジー野球の現状」
- 【第8回】2017年1月23日 「フィジー野球の2年間を振り返って(後編)」
- 【第7回】2016年11月28日 「フィジー野球の2年間を振り返って(前編)」
- 【第6回】2016年9月6日 「第25回世界少年野球大会千葉大会~当日編~」
- 【第5回】2016年8月8日 「第25回世界少年野球大会千葉大会~準備編~」
- 【第4回】2016年7月22日 「コミュニティ地区での野球」
- 【第3回】2016年6月23日 「フィジーに恩返し」
- 【第2回】2016年5月25日 「道具にリスペクトを」
- 【第1回】2016年5月15日 「キャッチボール」
著者プロフィール
大嶋賢人
1994年8月8日生
都内の教育大学を卒業後2017年8月よりFiji Baseball & Softball Associationに青年海外協力隊の野球隊員として配属。ナショナルチームの指導や巡回型普及活動を行っている。「年間300日雨が降る」と言われる首都スバ市で”NO SWING-NO HIT!”をモットーに現地の子どもと白球を追っている。好きな言葉は「出来なくて当たり前、出来たら男前」。
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