侍ジャパンの赤星憲広アンバサダーが、「第28回ユニバーシアード競技大会」に向けた侍ジャパン大学代表の強化合宿を訪問、視察を行いました。シドニー五輪などで代表経験を持つ赤星氏が、侍ジャパンアンバサダーの視点で、大学代表チームをレポートします。
「侍ジャパンアンバサダー 赤星憲広」はこう視た
―――大学代表チームを視察して、印象・気になった選手はいましたか。
投手陣全体を観て、同じようなタイプの投手がいないので、面白いと感じました。国際試合では、相手によって投手を使い分けることが重要になってきます。
気になる選手を何人かあげるとすれば、まずは、田中くん(正義/創価大3年)はストレートがもちろん速いのですが、カーブの抜けも良いです。未完成な部分もあって、まだまだ伸びシロを感じます。高橋くん(礼/専修大2年)は以前も投球は見たことがあるのですが、本当はもっと速いですよね。今日は本調子じゃないかもしれないですが、140km/hを投げるアンダースローはプロでもいませんから、楽しみです。濵口くん(遥大/神奈川大3年)に関しては、荒れ球だったり、あのバーンっていう腕の振りが彼の1番良いところなので、その持ち味を大切にして欲しいですね。コントロールを意識しすぎて、こじんまりとして欲しくないです。上原くん(健太/明治大4年)も高めのストレートが1番良いので、そこにボンボン投げればいいと思います。外国人は高めの球をどんどん振ってきますから、高めにキレの良い球をいかに投げるかも大切です。
少し気になったのは、どの投手も低めに投げようとしすぎているのではと感じました。「低めに丁寧に」というのは、国際試合だけでなく、投手として大事なのですが、低めに意識しようとすればするほど、腕が振れなくなってしまいます。低めでも腕を振って投げなければ打たれますから。いかに強いボールを投げるかということも意識して欲しいです。
野手で言えば、柴田くん(竜拓/國學院大4年)の守備の上手さですね。送球・捕球が非常に安定しています。このチームの守りのキーマンとなるのではないでしょうか。藤岡くん(裕大/亜細亜大4年)は、非常に肩が強いと感じました。体の使い方が上手な選手という印象を受けました。谷田くん(成吾/慶應義塾大4年)はリーグ戦不調でしたが、タイミングを取る際に余計な動きが出て、軸足でのタメが無くなってしまう時があります。ただ練習でも、それを意識しているように見えましたし、ちょっとしたことがきっかけで変わるのではないでしょうか。
―――国際試合を戦ううえで大切なこと
日の丸を背負っている以上、どうしても緊張してしまいますから、チームの雰囲気を作ったり、流れが悪い時に雰囲気を変えられる選手は必要ですね。 僕はシドニー五輪で代走から守備固めというのが主な役割でした。その中でも、ランナーコーチとして投手の癖を見抜き味方に伝えるだとか、代走に出た時は盗塁を決めるだとか、そういう個々の役割がありました。ですので、リザーブの選手の役割も大切ですね。
―――国際試合だからこそ得られること
国を背負っての一発勝負というのは、それはなかなかのプレッシャーですよ。普段もプレッシャーは感じていると思いますが、その度合いとは全然違うと思います。でも、それを経験できるのは、侍ジャパンに選ばれた彼らだけですから、今後に生かして欲しいです。
―――最後に、選手たちにエールを。
プレッシャーを思う存分感じて欲しいですね。やっぱりこのJAPANのユニフォームを着るということは、トコトン意識して欲しい。それぐらい背負った中で、自分のプレーにどこまで徹せられるか。成長や実力を試せる場になるので、そういう気持ちで戦ってきてもらいたいです。侍ジャパン大学代表の戦いに期待したいです。