9月16日に台湾で開催される第27回 BFAアジア選手権に参加する侍ジャパン社会人野球代表。8月1日から千葉県内のグラウンドで代表選手選考合宿が始まり、合宿2日目のこの日は東京ガスと、日立製作所との強化試合2試合を行った。
今回の代表候補選手の顔ぶれを見ると、多幡雄一(Honda)、林 稔幸(富士重工業)など日本代表の常連メンバーだけではなく、投手では近藤大亮(パナソニック)、田嶋大樹(JR東日本)、野手では強肩捕手の木下拓哉(トヨタ自動車)とフレッシュな顔ぶれも揃った。
今回の合宿で、37名の選考選手から24名に絞られる。とくに、投手は力のある選手が多い中、17名のうち、その半分の人数に絞られる予定だ。
そのため、安藤強監督は、「今回は良い投手が多いので、自分たちのパフォーマンスをしっかりと出してほしい」と選手たちにも伝えた上で臨んだこの2試合。投手をしっかりと投げさせて力を見極めたいという意向から、この日は、変則の10イニングで行われた。
まず、午前中に行われた東京ガス戦。代表常連メンバーたちが経験の差を見せる。
1回裏、一死一、二塁のチャンスから4番林が豪快な3ランで3点を先制。さらに3回裏。再び林が右中間へ飛び込む2ランを放ち、5対0と大きくリードする。主砲の一打に安藤監督は「やはり打のキーマンとして頼もしいです」とコメント。
序盤に大きくリードした日本代表は、投手陣では先発の小野和博(富士重工業)から、近藤 均(王子)、猿川拓朗(日立製作所)と無失点リレーでつなぐ。
4番手・守安玲緒(三菱重工神戸)は、一死二、三塁から、内野ゴロで1点を失うも、後続の3番、4番打者を連続三振に奪うなど、快調な投球を見せる。
さらに、5番手・佐竹功年(トヨタ自動車)も無失点投球。抑えには、北出浩喜(パナソニック)が登板し、145キロ前後の直球とスライダーを武器に、2点を失うが力投を見せて、東京ガスの追い上げをかわして、5対3で勝利した。
また、午後から行われた日立製作所との一戦は、山岡泰輔(東京ガス)が先発。
山岡は瀬戸内高校時代に、甲子園出場すると、翌9月には、第26回 IBAF 18Uワールドカップにも出場。さらに、東京ガスに入社した2014年にも、第1回 IBAF 21Uワールドカップで登板経験も積んだ若手のホープ。
そして、今年も社会人野球のカテゴリにおいて、日本代表の候補入りを果たすなど、3カテゴリで、代表入りする可能性を持った投手である。その山岡は、140キロ前半の速球とスライダーのコンビネーションで2回無失点の好投をみせる。
3回表からは、高卒1年目の田嶋が登板。佐野日大高時代から、速球派左腕で鳴らしてきた田嶋は、この日も、140キロ前半の速球で押すピッチングを展開。4回表には、二死満塁のピンチを招くも、何とか無失点で切り抜ける。
ここまで、0対0と両者無得点のまま迎えた7回。
4番手の鮫島優樹(三菱重工広島)が二死二塁から、相手3番打者の三塁打などから、先制点を許す。さらに、4番打者にも二塁打を打たれ、0対2。
9回にはダメ押しの2点を追加され、その裏、反撃ならず。試合は、0対4で敗戦した。
2試合を終えて、安藤監督は、
「今日は勝ち負けよりも、投手、野手、それぞれがいかに自分のパフォーマンスを発揮できるかを見てきました。とにかく、私たちを悩ませるような活躍を見せてほしいです」と話した。
また、選考にあたって安藤監督は、
「投手は短期間の戦いになるので、連投が出来そうな投手を重視したいですし、野手はパワーと機動力を持った選手がポイントになってくると思います。この大会では、長打などのビッグプレーの部分と、盗塁やバントといったスモールな部分を兼ね備えた野球をしていきたいと考えています」と構想を語った。
日本代表のメンバー入り24名をかけた戦いは、明日8月3日(月)、JFE東日本との強化試合がラストとなる。選手たちが自分の持ち味を最大限にみせるパフォーマンスに期待したい。