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U-18対戦国の野球/代表の大半がプロ入りの韓国。甲子園はエリート集団の憧れの地

2015年8月27日

写真=室井昌也

 韓国は2008年の北京オリンピックで、日本、キューバ、アメリカらの強豪を倒し、9戦全勝で金メダルを手にした。その五輪後の記者会見で、代表選手のイ・スンヨプ(当時・巨人)はこんなことを話している。「高校野球部が60校(に満たない数)しかない国が、金メダルを獲得するとはすごいことだ」。そのイ・スンヨプの言葉通り、韓国は実力に対し、野球の競技人口が非常に少ない。

 韓国の人口は約5,144万人。その数は日本の約5分の2だ。しかし、日本の高校硬式野球部は加盟校が4,021校、部員数が168,898人なのに対し、韓国の高校野球部はわずか67校。部員の数は約2,400人しかいない。これを日本に置き換えると、青森県の69校2,411人、栃木県の64校2,485人と変わらない規模になる(公益財団法人日本高等学校野球連盟調べ。2015年5月末現在)。

 競技人口が少ないのは野球に限ったことではなく、高校サッカー部も韓国全体で167校(2014年時点)にとどまる。韓国には日本のような趣味的要素を含む部活動がほぼ存在しておらず、スポーツをやっている高校生の大半は、専門的にその競技を行い、トップアスリートを目指しているのが現状だ。

 しかし近年ではこの「エリート主義」に歯止めをかけようと、以前は年間通して曜日を問わず行われていた野球大会を再編成。2011年からは週末にリーグ戦を行い、野球部員が学業に関わる機会を増やすようにした。またプロ側ではコミッショナー組織である韓国野球委員会が、野球部を新設した小、中、高校にこの3年間で総額35億ウォン(約3億5,000万円)を支援。この底辺拡大策により、高校では新たに11校の野球部が誕生するなど、少しずつではあるが変化を見せている。

 今回のWBSC U-18 ベースボールワールドカップに出場する韓国代表選手は、野球エリートの中でもトップクラスの面々が集まっている。代表20選手中、高校3年生は18人。そのうち6人が、各プロ球団がフランチャイズ地域を中心とした指定校から1人を選ぶ、「新人1次指名」に選ばれた。また11人が各球団ウェーバー方式で10巡目まで指名する、「新人2次ドラフト」で指名を受けている。

 中でも一番の注目株は4月の鳳凰大旗大会で優勝し、MVPを獲得した右腕、チェ・チュンヨン(慶北高3年・サムスン1次指名)だ。チェ・チュンヨンは日本との戦いに特別な思いを口にした。「日本の打者はスイングが鋭く、ミートする能力、バランス、テクニック、すべてにおいて韓国より上だと思います。そんな日本とぜひ対戦したいです。もし対戦することができたら、持ち球の直球とスライダーで勝負したいです」。
 またチェ・チュンヨンはこんなことも話した。「僕のロールモデルは大谷翔平投手(北海道日本ハム)です。直球にスピードがあってダイナミックなフォームに魅力があります。大谷投手が高校時代に活躍した甲子園球場は、日本で一番大きな大会が開かれる球場だと聞きました。そこで投げてみたいです」。

 また、ktから1次指名を受けた左腕のパク・セジン(慶北高3年)は「プロに行く前に、この大会でたくさんの観衆の前で投げてみたいです。スライダーでコーナーを突く投球に自信がありますが、日本戦では逃げずに積極的な投球を心掛けます」と話した。

 グループAの日本とグループBの韓国が顔を合わせるのは、1stラウンドを終えたスーパーラウンド以降となることが予想される。ほとんどのメンバーのプロ入りが決まったエリート集団の韓国は、1stラウンドでどのような結果を残し、日本との対戦を迎えることになるだろうか。

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第27回 WBSC U-18 ベースボールワールドカップ

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開催概要 チケット 放送予定
8月26日(水)18:00 侍ジャパンU-18(高校)代表 2 - 9 侍ジャパン大学代表
阪神甲子園球場

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