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"世界の野球"東欧ブルガリア -野球事情とその展望-「2018年シーズン終了」

2018年12月18日

文=藤森健

 今年もブルガリア野球のシーズンが無事に終了しました。当たり前のようなことですが、ここではそうでもありません。年中行事を無事に行い、大きな問題もなくその年を締めくくることがどんなに難しいことか……。シーズン終了時には毎年小さな喜びを感じます。
 ブルガリア野球にとって2018年は連盟創設30周年を迎えた節目のシーズンでした。それでも、ブルガリア野球の現状を表すように大きな祝典もなく、リーグ戦、2大カップ戦も例年通り行われました。少し変わった事といえば、クラブチーム欧州大会の開催地に数年ぶりに選ばれ実施した事、ここでも触れたバルカンチャンピオンシップ、ベースボール5のイベントを開催した事、そして子ども野球への取り組みなどが挙げられます。


ブルガリア史上初の国内3冠を果たしたソフィアブルース(写真提供:Борис Мутафчиев)

 国内リーグ戦であるブルガリアベースボールリーグ(Bulgarian Baseball League)は7チームの参加で始まり、途中で1チームが棄権、最終的には6チームで順位を争いました。その結果、ソフィアブルース(Sofia Blues)が優勝、これまでに20度の最多優勝回数を誇るブラゴエフグラッドバッファローズ( Blagoevgrad Buffaloes)をプレーオフで下しての制覇となりました。

 ソフィアブルースは長きに渡るリーグ戦参加の歴史の中で、2012年以来となる2度目の栄冠獲得となったため、彼等の喜びはとても大きなものでした。また、リーグ戦だけでなく、ソフィアカップ、ブルガリアカップと国内主要3大会をブルガリア野球史上初めて同時制覇し、彼等の勢いを感じたシーズンとなりました。


ソフィアブルースの国内リーグ戦の優勝は2度目(写真提供:Борис Мутафчиев)

 近年、足踏み状態のブルガリア野球ですが、今後に繋がるであろう変化を少し見ることもできた2018年でした。今年6月、数年ぶりに欧州野球連盟主催のクラブチーム欧州大会、フェデレーションズカップ予選(Federations Cup Qualifier)の開催地となった事はその一つです。優勝こそできませんでしたが、開催地となったことで国内外への良いアピールになりました。
 実際に、来年2019年には、再度フェデレーションズカップ予選が、そして2年毎にある国代表同士の大会、欧州野球選手権予選(European Championship Qualifier)がブルガリアで開催されることが決まっています。
 例年通りであれば、立候補地は複数あったはずです。その中で、2年連続で、さらに国際大会が同年に2度も開催されるということはブルガリア野球の活動が欧州野球連盟から、ある程度は評価されていると捉えることができます。
 開催地になることは予算などの都合上、大会で有利な点が多くなり、これまで以上に良い成績も期待できます。国内で国際大会が開催されれば、メディアの露出も増えるでしょうし、野球の知名度向上と合わせて期待できることが多くあります。

 最後にもうひとつ、個人的に今シーズンに見られた変化として特筆したいのは、リーグ戦に参加したほぼ全チームが子どもへの取り組みを行うようになったことです。まだまだ不十分ですが、ここ数年疎かになっていた子どもを対象とした普及活動がやっと少しずつ動き出したのを実感しています。


ある週末の子どもの練習風景(写真提供:ブルガリア野球連盟)

 個人的にも首都ソフィアの数チームと合同で「所属チームに関わらず、子どもの家族も参加できる機会を作ろう」と活動を始め、少しの手応えを感じています。これに関してはまた詳しく紹介できればと考えています。
 ここ数年来、ブルガリア野球の先行きを不安視して来ましたが、連盟創設から30年を迎え、僅かながらも変化が現れ、今後に期待できる状況になり始めたと言えます。まだまだ希望的観測の域を出ませんが、このオフシーズンと来期にどのような動きがあるのか、また、長期的にこの先どうなるのか、興味深いところです。

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