8月15日まで中国・杭州市で行われた「第12回 BFA U12アジア選手権」で2016年の第9回大会以来3大会ぶり2回目の優勝、全勝優勝を果たした侍ジャパンU-12代表。この活動期間で選手たちはかけがえのない財産を得た。

「準備を積み重ねると勝利に近づく」
この言葉は桑田監督の口から何度も出てきた言葉だ。宿舎で、グラウンドで、ミーティングは毎日行われた。気になる動きがあれば理由を必ずつけて説明した。
その形式は桑田監督ら指導陣が一方的に話すのではなく、「こういう時はどうしたらいい?どうするんだっけ?」と、選手たちに問いかける形で行われた。これは桑田監督がかつて少年野球で指導していた経験や大学院での学びによるものが大きいといい、その進め方についても合宿前から塚本幸治コーチ、野下卓泰コーチとオンラインや食事会も合わせ、何度も議論を交わしてきたという。ミーティングを重ねる中で、選手たちの反応は日を追うごとに速くなり、また言わずともできるようになっていった。
また、球界全体の印象として「野球を知るというところが少し雑になっている」、大学院での学びから「小中学生の間に神経系を刺激するトレーニングをしたり、頭を使ったりしておかないと(それより後に)身につかない」と危機感を持っていただけに、選手たちにその考えを落とし込んだ。
日々の練習ではトスバッティングによるペッパー(トスされたボールを野手へゴロで打ち返す基礎練習)を必ず行い、強化合宿から直前合宿ではアッパースイングの修正やコースへの投げ分けを宿題に出した。いくらスイングが速くてもバットに当たらなければ何も起こらず、いくら速い球を投げられてもストライクが入らなければ意味がないからだ。
実戦に入ってからは、2ストライクから追い込まれた際にバットを短く持って、よりミート重視にする打撃を「変わり身作戦」と、小学生にも分かりやすく名付けた。スーパーラウンドの韓国戦では、四球と暴投で二塁に進んだ走者を、追い込まれてからの進塁打2本でかえし、無安打で同点に追いついた。決勝のチャイニーズ・タイペイ戦では3得点すべてが追い込まれてからの打撃だ。投手陣は低めに球を集め、守備陣も状況に応じて冷静にプレーし、スーパーラウンドから決勝までの3試合を6失点にまとめた。
「1球の重み、ワンプレーの怖さ」も標語に、そのための準備の大切さを説いた。開幕戦の順延により6日で6試合を行う日程となったが、桑田監督の要望で帯同した管理栄養士がドクターやトレーナーと連係して熱中症予防にも努め、足を攣る選手は1人も出ず、最後まで15人全員で戦い抜いた。

解団式で桑田監督は、2死から逆転サヨナラ勝ちを収めたスーパーラウンドのチャイニーズ・タイペイ戦に象徴される最後まで諦めない気持ちや、バランス・チャレンジ・リスペクトの頭文字から取った「BCRの精神」を忘れないで欲しい、苦しい時に思い出して欲しいと伝えた。
そして「1年でも長く野球を続け、野球を通して様々なことを学んで豊かな人生にして欲しい」という旨や、宿舎で他国・他地域の選手たちと積極的に交流する姿に感心したことも伝えた。
今回の侍ジャパンU-12代表活動で小学6年生の15選手が掴んだものは栄冠だけではない。グラウンド内外で様々な財産を得た彼らのこれからが楽しみだ。
選手コメント
石井裕翔(都賀の台レッドウィングス)
※3試合10回4安打2失点でMVP
「嬉しいです。桑田監督に教えてもらった低めに投げることを最後まで意識した結果です。低めに投げればゴロやライナーで打ち取れることを覚えました」
伊藤龍成(ASAI KIDS☆UNITED)
※最多本塁打、ベストナイン(外野手)
「優勝できて主将として嬉しい気持ちとホッとした気持ちです。個人賞については驚いています。接戦で苦しい試合展開の中国戦で調子の良くなかった自分がホームランを打つことができ、チームにとっても良かったですし、自分にも自信がつきました。チームの目標としてきた強い人・強い選手になることは今後の人生でも大切になります。今回学んだ団結力の大切さも発揮して格上の相手にも果敢に挑んでいきたいです」
中村太陽(鳴尾東ビクターズ)
※最優秀守備選手
「誕生日(8月15日)に優勝もできて個人賞も獲れて嬉しいです。自分のチームでも毎日試合があるので6連戦は過酷に感じませんでしたが、ナイターで緊張感のある試合を多くすることができて良かったです。中学以降にどのポジションを守ったとしても、教えてもらった準備の大切さを生かしていきたいです」
古垣佑規(紀見少年スポーツクラブ)
※ベストナイン(外野手)
「ベストナインはびっくりしたし嬉しかったです。桑田監督から教わった準備と気合いのおかげです。お父さんからも結果どうこうよりも楽しくプレーするように言われたので楽しんでプレーしました。教わったことを今後も生かして上を目指していきたいです」

第12回 BFA U12アジア選手権
大会期間
2026年8月9日~8月15日
オープニングラウンド(グループA)
8月9日(日)10:30 日本 (延期) フィリピン
8月10日(月)14:30 日本 11 - 1 フィリピン
8月11日(火)13:30 パキスタン 0 - 31 日本
8月12日(水)19:30 日本 7 - 3 中国
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)
スーパーラウンド
8月13日(木)19:30 日本 6 - 5 チャイニーズ・タイペイ
8月14日(金)20:20 日本 3 - 1 韓国
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)
決勝
8月15日(土)19:30 日本 3 - 0 チャイニーズ・タイペイ
※開始時刻は日本時間(中国:時差-1時間)
開催地
中国(杭州市)
出場する国と地域
グループA
日本、フィリピン、中国、パキスタン
グループB
チャイニーズ・タイペイ、韓国、香港、タイ
新着記事
U-12代表 関連記事
総括 関連記事
|
桑田真澄監督が小学生たちに伝えた「大切なこと」 史上2回目の栄冠だけではない財産2026年8月17日 |
|---|
|
WCBC初代王者の大学代表 着実な準備と継承される勝者のメンタリティーで栄光続く2026年7月18日 |
|---|
|
準優勝に終わるも新戦術や積極的な若手登用で世界一へ繋がる収穫と課題を得る/「第3回 Baseball5 アジアカップ 2026」総括2026年4月10日 |
|---|
|
井端弘和監督が蒔いた種をいかに花咲かせるか/「2026 WORLD BASEBALL CLASSIC™」大会総括2026年3月17日 |
|---|
|
WBCに向けた「適応」と「競争」の貴重な期間に/ラグザス 侍ジャパンシリーズ2025 日本 vs 韓国 総括2025年11月18日 |
|---|
























