今年7月に韓国・光州で行われたユニバーシアード競技大会で見事に金メダルを獲得した侍ジャパン大学日本代表(※大学代表のカテゴリーでの世界一は史上初)。そこで切磋琢磨し合った選手たちが、今度はプロ野球に戦いの場を移そうとしている。
10月22日に東京・グランドプリンスホテル新高輪で行われる「プロ野球ドラフト会議」に向け、ユニバーシアードに選手登録されていた4年生選手15名のうち、社会人チームに進むことが有力な桝澤怜外野手(亜細亜大)を除く14名がプロ志望届を提出した。
ドラフト1位候補に挙がる高山、吉田、上原
中でも、代表で主軸を組んだ高山俊外野手(明治大)と吉田正尚外野手(青山学院大)、強力リリーフ陣の一角を担った上原健太投手(明治大)の3名はドラフト1位ないし「外れ1位」での指名が有力視されている。
特に高山と吉田は、「吉田は自分にはない“打てるツボ”を持っていて、そこにくれば逃さず打つ。見ていて凄く勉強になりました」(高山)、「無名だった僕に比べ、高山は高校時代から実力も知名度もあった選手。彼に追いつき追いこさなければプロに行けないと思っていました」(吉田)、とそれぞれが語るように、同じ右投左打の外野手として、代表期間を含めたこの4年間で意識し合い、お互いを高め合ってきた。
また春季リーグは不振に終わった上原も、ユニバーシアードでは190センチの長身から角度のある140キロ台後半のストレートを連発させ復調。今秋は、同じく大学日本代表の柳裕也(明治大3年)と二本柱を形成し、東京六大学リーグで首位を走る明治大を牽引している。
さらに谷田成吾外野手(慶應義塾大)も春季リーグは打率.146と絶不調だったが、ユニバーシアードでは全4試合に出場し打率.500、1本塁打4打点という好成績を残した。これで吹っ切れたかのように秋季リーグは、最終節の早慶戦を残し、5本塁打を放つなど好調をキープ。同僚の大学日本代表・横尾俊建も4試合連続を含む5本塁打を放つなど、金メダリストたちがチームに良い影響をもたらしている。
金メダルには欠かせなかった選手たち
ユニバーシアード準決勝・アメリカ戦の先制三塁打など高い長打力で金メダルを獲得した茂木栄五郎内野手(早稲田大)、主将として高い統率力を発揮し打率.500も記録した坂本誠志郎捕手(明治大)、開幕戦の韓国戦で相手の隙をついた走塁を見せ先制点を演出した北村祥治内野手(亜細亜大/※大会登録は捕手)はプロでも周囲に好影響を与える選手となりそうだ。
また雨が降りしきるコンディションでも安定感抜群の守備を見せた柴田竜拓内野手(国学院大)、相手をねじ伏せる力強い投球で好リリーフを見せた井口和朋投手(東京農業大北海道オホーツク)も、状況に動じずに自らのパフォーマンスを発揮できることをユニバーシアードで証明した。
さらに出場機会こそ多くなかったが、吉田侑樹投手(東海大)、宇佐見真吾捕手(城西国際大)、藤岡裕大内野手(亜細亜大)、山足達也内野手(立命館大)も、志高いメンバーと切磋琢磨した貴重な経験を武器に、プロでさらなる飛躍を目指す。