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"世界の野球"日本人指導者の挑戦「香港野球代表のこれから」

2016年12月28日

文・写真=色川冬馬

 2016年12月24日〜27日までの3日間、私は台湾の高雄市にて行われる香港代表チーム強化合宿を率いる事が決まった。
 先進国同様に豊かな経済発展を遂げておりながら、野球自体はアジアBグループに属する香港野球代表チーム。また、私がこれまで見てきたイランやパキスタンの代表チームと違い、香港代表選手の年齢は若く、25歳以下の学生を中心に代表チームが形成されている。これは経済が発展しているが故の悩みでもあり、大学や大学院を卒業し就職すると、会社への労働時間が長く、野球に従事する時間が減ってしまうそうだ。イランやパキスタンでは、アルバイトの様な安定した収入のない職業でも、大家族の選手達は意外と生活が成り立っていた。また、大人になってから野球に出会い、野球を学んでいくイランやパキスタンと違い、経済が豊かであるが故、香港では裾野(若年層)へも野球が広まっており、技術が洗練されている選手が多い。また、英語ができる選手が多く、ほとんどの選手が普通にインターネット等を介して野球の情報を入手できる事も強みである。

 香港野球は今、第一線で国を背負い戦う選手達を、いかにして野球発展のために野球現場に繋ぎとめていくのか。そして国内の野球に対する理解を拡げ、政府管理下の唯一の球場を有効に活用し国内の野球を充実させていくのかが今後の課題であるだろう。2020年の東京オリンピックへ野球が復活した事で、香港国内における野球への理解、認知度、そして予算が増えてくればよりトップチームが強化されていくだろう。

 私個人的には、2020年までにアジアBグループの国がアジア4強の壁を破らなければ、アジア野球は今後より衰退していくのではないかと懸念している。香港野球は、そんな可能性を秘めた国の一つとして高い目標を掲げ、野球だけではなくアジア4強に食い込むに相応しいチームへ成長して欲しいと私は願っている。

著者プロフィール
色川冬馬(いろかわ とうま)
2015年2月にイスラマバード(パキスタン)で行われた西アジア野球選手権にイラン野球代表監督として、チームを2位へと導く。同大会後、パキスタン代表監督に就任。2015年9月に台湾で行われた「第27回 BFA アジア選手権」では、監督としてパキスタン代表を率いた。

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