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"世界の野球"日本人指導者の挑戦「香港野球代表団、グアム強化合宿へ」

2017年7月3日

文・写真=色川冬馬

 2017年4月28日、香港野球代表団は強化合宿を行うため、香港国際空港に集合した。今回は、グアムとフィリピンにて4日で6試合が計画されていた。28日の夜に香港を出発し、29日の明朝にグアムへ到着する。その日は午後から試合があり、30日は、ダブルヘッダーにて行わる。5月1日の明朝にフィリピンへ移動し、その午後にも試合を行う。5月2日は、再びダブルヘッダーという日程だった。過酷なスケジュールとは言え、5月10~18日かけて行われる中国の全国大会に出場する香港代表にとっては、貴重な試合経験を積む機会だった。

 グアムでの初戦は、軍人で構成されたチームであった様だが、日本でいう草野球チームといった感じだった。球場は日本の企業であるレオパレスが所有するレオパレス球場にて行われ、グアム野球協会が試合等のセットアップを担当した。
 試合は序盤から長打とエラーで点数を重ねた香港代表が、11-1で勝利した。しかし、チームとしては投手の制球の乱れ、コミュニケーション不足による送球ミス等、スコアブックに記録されない細かいミスを繰り返していた。また、香港野球は相手のペースに合わせて試合をしてしまう傾向がある。点差はあったが、ランナーをためては凌ぐという、危険と隣り合わせの試合運びだった。

 このような感覚を、現地(香港)の指導者や選手と共有するのが一番難しい。英語と言う第2言語を介しているというのもあるかもしれないが、野球に対する向き合い方と試合経験の少なさからくる。これまで、香港代表団と共に台湾、日本、そしてグアムで試合をこなしてきているが、私たちはずっと負け越している。その度に、次に向けて試合のポイントを共有しているが、いざ試合が始まると一人一人が自分のことで精一杯だ。先を予測したり、観察したり、相手のことを考える余裕や習慣がない。私がみてきた野球環境やこれまでの経験も全く違うのだが、この状況を打破しなければ、これから向かう大会においては危険が多いと感じていた。

 私自身も自分の考えを選手へ伝えるため、毎晩のミーティングを通して、試行錯誤しながら選手たちと共に新たな道を模索していた。また、自分の考えを伝える時は、私のリアルな経験とこれからチームが向かう方向性を示し、一つずつ確認し、ミスコミュニケーションが起さないよう気をつけていた。
 選手それぞれが挑戦できる環境とアイディアを提供し、こういった試合経験を通して、小さな成功体験を積み重ねてほしい。チームとして向かう方向、試合中におけるベンチワークなど、試合だから学べることを手に入れようとミーティングを繰り返した初日だった。

著者プロフィール
色川冬馬(いろかわ とうま)
2015年2月にイスラマバード(パキスタン)で行われた西アジア野球選手権にイラン野球代表監督として、チームを2位へと導く。同大会後、パキスタン代表監督に就任。2015年9月に台湾で行われた「第27回 BFA アジア選手権」では、監督としてパキスタン代表を率いた。

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