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"世界の野球"【第12回】清水直行 ニュージーランド野球の世界挑戦記「融合」

2015年8月3日

文・写真=元 野球日本代表 清水直行

 一年間通してニュージーランドの気候は「1日の中に四季がある」とまで言われており、温暖でも天候が変わりやすいのが特徴だそうだ。その理由は、一日の気温の変化にある。最近の朝は10℃前後、昼になると短時間ではあるが20℃近くまで上がる。そしてまた夜には10℃前後まで冷えこむ。ただ、冬と夏では季節が逆な割には、ここニュージーランドのオークランドではそこまでの急激な逆転はしていないように感じる。そんなオークランドはそろそろ春を迎えようとしている。

 冬、夏、とスポーツの環境に目を移せば、日本にでも、北海道から沖縄までで季節や気候が大きく異なる。特に東北地方から北では、冬の間は練習する環境を工夫しなければならない苦労がある。私は関西出身なので幼少期にそういった経験をしたことがないが、今思えば恵まれた環境下で野球をさせてもらえていたのだとつくづく思う。改めて、屋外スポーツの歴史にとっては、気候や環境が大部分を占めていると感じさせられる。
 最近のオークランドでは、一部の地域を除いてグラウンドで野球をしている風景を見ることができない。すでに、オークランドの街は冬のスポーツ競技へとうつり、ラグビーやサッカーが盛んに行われている。現地ではスポーツ真っ盛り。お国柄、夏に野球をしていた子供たちもラグビーやサッカーのクラブで競技に熱中している。

 ニュージーランドにはひとつの競技だけではなく、いろいろなスポーツに触れて、その中で自分にあったものを選んでいく。悪いことではない。日本にはないスポーツ文化が根付いているのだ。もちろん、私としては歯がゆい思いもある。冬の間にもできるだけ多くの野球トレーニングをしたいと考えているからだ。幼少期、寒い冬にひたすら走り込んで鍛えた下半身が、春を迎えて確かな成長へと後押ししてくれることを、身を持ってしっているからだ。「冬に努力した分だけ、春からのシーズンで花開く」。そう信じて、ぐっと歯を食いしばって鍛錬を積んだことが、自分の支えにもなった。

 しかし、そんな日本流を押し付けたら、現地の子供たちはたちまち逃げ出してしまうだろう。ならば、私が適応するしかない。ニュージーランドのスポーツ文化や風習をうまく利用しながら、あらゆるスポーツと共存し「ニュージーランド野球」を育てていけないだろうかと考えている。私がひたすら走り込んだ冬場、ニュージーランドの子供たちはラグビーを通して芝生を走り回って足腰を鍛えることができる。そう考えれば、非常に有意義だ。同じくピッチ上でめまぐるしく攻守が入れ替わるごとにダッシュを繰り返すサッカーは心肺機能を鍛えてくれる。実は、別のスポーツで得られる効果は大きいのだ。さらには、それぞれのスポーツで精神も学ぶこともできている。ラグビーで有名な「オール・フォー・ワン。ワン・フォー・オール。」の精神は、野球のルールを通じて自己犠牲を教え込むよりも、ずっと子供たちの心に入り込めるかもしれない。

 一方で、野球をうまくなるには不可欠な「技術」もある。それは、日本式の鍛錬や反復練習ではなければ身につかないことでもある。
 日本から多くの技術を伝えること、教えること。そして、現地の文化に馴染むことであらゆるスポーツによって体力をつけ、強い体をつくること。この融合が可能性を与えてくれそうだ。

清水直行 ニュージーランド野球の世界挑戦記
著者プロフィール
清水直行(しみず なおゆき)
1975年11月24日生まれ 京都府出身。日大、東芝府中を経て、99年にドラフト2位でロッテに入団。2002年から5年連続で規定投球回、2桁勝利を継続し、エースとして活躍。05年は31年ぶりの日本一にも貢献した。04年のアテネ五輪、06年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に日本代表として出場。10年から横浜(現:横浜DeNA)。プロ12年間で通算105勝、防御率4.16。現役引退後は、ニュージーランド野球連盟ゼネラルマネジャー補佐、同国の代表統括コーチを務める。

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