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"世界の野球"【第28回】清水直行 ニュージーランド野球の世界挑戦記「日本野球教室 in NZ 2017」

2017年2月8日

文・写真=元 野球日本代表 清水直行

 2017年が始まり、ニュージーランドでは日本野球に関する恒例行事が催された。1月27~30日まで、元ヤクルトの宮本慎也氏と同じくヤクルトなどに在籍した坂元弥太郎氏を招き、野球教室を行った。宮本氏を招くのは、第1回から3年連続。日本代表のアテネ五輪で一緒にプレーさせていただいてからの長い付き合いで、遠く南半球まで足を運んでもらったことに感謝の気持ちでいっぱいだった。

 野球教室を主催するのは「ニュージーランド野球友の会」。私が現地に渡ってから立ち上げた団体である。現地の商社などに勤務する日本人の皆さんが会員となり、約30人で構成している。1人あたり年間200ドル(約1万5000円)を納めてくれ、会費の中で活動を続けている。

 野球教室は2部構成で行っている。一部は「お父さんのための野球教室」。これは会費を出してくれている父兄に、元プロ野球選手と交流の場を提供することが狙いだ。野球好きといっても、多くのお父さんたちは中学や高校くらいまでしかプレーした経験がない。
 そこで本来ならプロが使用する木製バットを握ってフリー打撃の場を設ける。マウンドに立つのは、もちろん私だ。木製バットは芯でとらえると、気持ちよく振り抜けて打球が飛ぶ。一方で、芯を外すと手にジーンと痛みが生じる。
 こんな経験をしてもらいつつ、現地のお父さんたちには、私と一緒に日本野球を広めていく活動に協力をしてもらっているのだ。

 二部は、子供たちのための野球教室だ。名手と呼ばれた宮本さん自らグラブをはめて、守備を指導する。宮本さんが笑いながら言っていた言葉が印象的だった。
「3年経っても、お父さんたちの技術はもうそこまで上達はしない。だけど、子供たちの成長は目に見えてわかるね」
 伸びしろを感じさせてくれるありがたい言葉だった。参加者の多くはまだ日本人だ。本当なら、もっとニュージーランドの子どもたちとたくさんの場所で、野球教室をやっていきたい。もちろん、そのためには活動資金も必要になる。地道にできることから続けていきたい。

清水直行 ニュージーランド野球の世界挑戦記
著者プロフィール
清水直行(しみず なおゆき)
1975年11月24日生まれ 京都府出身。日大、東芝府中を経て、99年にドラフト2位でロッテに入団。2002年から5年連続で規定投球回、2桁勝利を継続し、エースとして活躍。05年は31年ぶりの日本一にも貢献した。04年のアテネ五輪、06年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に日本代表として出場。10年から横浜(現:横浜DeNA)。プロ12年間で通算105勝、防御率4.16。現役引退後は、ニュージーランド野球連盟ゼネラルマネジャー補佐、同国の代表統括コーチを務める。

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