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"世界の野球"【第1回】清水直行 ニュージーランド野球の世界挑戦記

2015年1月22日

文・写真=元 野球日本代表 清水直行

「日本野球をニュージーランドに伝えよう」。空港に降り立ったときのすがすがしい気持ちは今も忘れていない。ちょうど1年前。2014年1月にニュージーランドのオークランドへ向かった。

 縁もゆかりもない国へ渡航する決断に至った理由は、さらに1年前にさかのぼる。DeNAを退団し、進退に悩んでいた時期だった。第3回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開催に合わせ、テレビ局から解説の仕事をいただいた。「どんな国が出場するのか」。出場国を調べて驚いた。ニュージーランド、ドイツ、南アフリカ、フィリピン・・・。これらの国を聞いて、正直に言えば、野球と結びつけることが難しかった。

 私は6歳から野球を始め、プロ野球選手になり2004年アテネ五輪と06年第1回WBCで日本代表選手にも選ばれた。しかし、世界の野球事情をあまりにも知らなかったのだ。

 当時はまだ現役復帰できるか、引退になるかをさまよいながらリハビリに励んでいたが、このことが「第二の野球人生」を考える大きなきっかけになった。世界の野球について多くを学ばなければいけないと考えるようになった。「日本の野球は世界の野球へ貢献できているのか」「プロ野球のOBはどのぐらい野球普及活動をしているのか」「野球という競技はグローバルになっていくのか」。思い立つと、行動に移すタイプだ。家族で生活できることも視野に、ニュージーランドで野球の普及に携わりたいと強く思うようになった。

 ニュージーランドから野球を連想するのは難しい。私自身もそうだったからだ。WBCには第3回から参加した野球新興国だ。私がゼネラルマネジャー(GM)補佐に就任したニュージーランド野球連盟は現在、12歳以下からトップチームまで5つのカテゴリーで世界の大会に出場している。

 もちろん、まだまだ野球をする環境は整っていない。日本のプロ野球が使用するスタンド席があるような専用球場は皆無で、プロリーグも存在しない。強化を進めるにあたって痛感させられるのが、国やその他からの支援も少なさだ。

 しかし、ニュージーランドにはオールブラックス(ラグビーナショナルチームの呼称)がある。言わずと知れたラグビー大国だ。人材には可能性を感じる。そこにどうかかわっていくか。日本球界に育ててもらった私ができる野球への恩返しでもあると感じ、地道に活動していきたい。そして、そこでの活動や現地の野球事情をこのコラムを通して日本の野球ファンにも伝えていきたい。

清水直行 ニュージーランド野球の世界挑戦記
著者プロフィール
清水直行(しみず なおゆき)
1975年11月24日生まれ 京都府出身。日大、東芝府中を経て、99年にドラフト2位でロッテに入団。2002年から5年連続で規定投球回、2桁勝利を継続し、エースとして活躍。05年は31年ぶりの日本一にも貢献した。04年のアテネ五輪、06年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に日本代表として出場。10年から横浜(現:横浜DeNA)。プロ12年間で通算105勝、防御率4.16。現役引退後は、ニュージーランド野球連盟ゼネラルマネジャー補佐、同国の代表統括コーチを務める。

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