文・写真=元 野球日本代表 清水直行
シドニーに入って1週間。はじめて日本代表以外の国の代表チームの一員としてユニホームに袖を通し、選手やスタッフとともに戦った試合と過ごした時間があっという間に過ぎ去ってしまった。結果的に最終戦となってしまったのは、2月13日の南アフリカ代表戦だった。
試合当日は快晴。野球日和だった。ここ連日、日差しの強さには多少こたえていたものの、やはり屋外天然芝での野球は最高だ。選手も今日の試合の意味を、十分に理解してくれているだろう。ホテルからバスでクラブハウスへ、そしてクラブハウスからメイン球場へといつものように歩く。足早にグラウンドへと向かい、試合前練習が始まった。全体でウォーミングアップを行い、野手はバッティングと守備練習、投手陣は外野の球拾いと個人練習だ。ひと汗かいてクラブハウスへと戻り2時間ほどクラブハウス内で準備を整え、いざ試合会場となる球場へと再び歩く。今朝、練習に行くときに歩いた同じ道ではあったが、今朝の緊張とはまた少し違う思いで歩いた。私自身がプレーをするのではないが、勝負の時間が近づくにつれて緊張感と興奮が増すのは現役時と変わらないものなのだと感じていた。
試合展開はと言うと、序盤から劣勢の展開だった。試合中盤に2点を奪い返すも、後半にダメ押しの追加点を許してしまい、その後は最後まで粘り強い攻撃を見せたものの、2-9というスコアで敗戦。ニュージーランド代表のWBCが閉幕した。2017年本大会へは、残念ながら出場できない。ニュージーランド代表のWBCオーストラリア・シドニー予選におけるチーム成績は1勝2敗。この時点で、ニュージーランドのトップチームカテゴリーの目標は、WBC2021年大会の予選会へと切り替わることとなったが、2020年 東京五輪で男子野球競技が復活することが決定すれば、自然と目標は東京五輪へと向かうはずだ。当然ではあるが地区の予選会からの挑戦になるだろう。またこういった縁も、日本野球界からひとりで海を渡り、ニュージーランド野球の普及と強化に携わる私としては、思い入れの強い挑戦になりそうだ。
実はWBC予選の終了後、日本野球界にニュージーランド代表選手を送り出すことができた。この大会の全3試合に4番一塁手として出場していたボス・モアナロア選手が、今年3月、日本プロ野球独立リーグ・ルートインBCリーグの新潟アルビレックス・ベースボール・クラブと契約を交わし、4月から開幕をしている全試合に4番打者として出場している。(5月10日現在)。
これをきっかけとして、さらにニュージーランドと日本が、野球というスポーツで繋がっていくような気がしている。今後もニュージーランド代表チームや下の世代から、ボス選手に続きたいというように、日本へ野球を求める選手が多く出てくれると嬉しい。
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- 【第2回】2015年2月6日 「オセアニア予選」
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著者プロフィール
- 清水直行(しみず なおゆき)
- 1975年11月24日生まれ 京都府出身。日大、東芝府中を経て、99年にドラフト2位でロッテに入団。2002年から5年連続で規定投球回、2桁勝利を継続し、エースとして活躍。05年は31年ぶりの日本一にも貢献した。04年のアテネ五輪、06年の第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に日本代表として出場。10年から横浜(現:横浜DeNA)。プロ12年間で通算105勝、防御率4.16。現役引退後は、ニュージーランド野球連盟ゼネラルマネジャー補佐、同国の代表統括コーチを務める。
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