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"世界の野球"インドネシア野球「アジア競技大会 大会に向けての準備状況」

2018年8月10日

文・写真=野中寿人

 侍ジャパン社会人代表チームの石井監督、棚橋コーチ、土肥コーチ、そしてJABA(全日本野球連盟)の佐藤課長が、8月18日に開幕するアジア大会の野球競技施設の視察のために、7月2日から4日までの間、ジャカルタに来訪されました。
 今回は、石井監督からのコメントを元に、安全性や準備のポイントや滞在時の注意事項をご説明したいと思います。

 まず南ジャカルタ・スナヤン地区のグロラ ブンカルノ総合競技施設内に新設されている野球場について説明します。この球場はアジア大会のメイン球場として使用される予定です。
 数ヶ月前から設置が懸念されていた照明灯、フェンスやバックネットへのスポンジ・クッション貼りは遂行されましたが、観客席壁が白色のまま未変更、センターバックスクリーンも未設置の状態です。
 また、内野からホームベースの間、ホームベース後方と両サイドのダッグアウト前を照らす位置に照明灯が設置されておらず、ピッチャーの左右斜め後ろから照明が照らされるため、ピッチャーからはホームベース周りは鮮明に見えますが、打者やキャッチャーからは逆光となり、ピッチャーの顔すら見えにくい状況となっています。
 また、芝が高いことから、球足が失速することと、野手が芝に足を取られる懸念があります。これに加え、外野手が後方への打球を追う際、ホーム~1塁間の球場外に建設された高層ホテルやマンションの白色の外壁と打球が同化する可能性があります。
観客席の壁については石井監督から、建設を統括する国民住宅省に対して、安全性の問題と色の変更について直接お話されていました。

 東ジャカルタのラワマングン地区、ジャカルタ国立大学内に建設中のサブ球場は、視察の時点では70%程の施工状況でしたが、現在では芝や土の質感がいい球場が完成しています。
 しかし、センターバックスクリーンがやや低いことや、ホーム~1塁間に隣の敷地に見える自転車競技施設の外壁が白銀色の光沢を含んでいる素材を使用していることから、レフト方向への内外野のフライが見えにくい状況です。
 加えて照明灯は高さ25mと低く、選手の目線に入ってしまう可能性と、高い打球は上空でボールの軌道を見失う可能性があります。また、設置位置にも問題があり、メイン球場と同様に、内野を照らす位置に設置がされていません。画像の様に3塁側のスタンドの影がグラウンドに落ちる現象が生じています。

 次に選手村として使用される宿舎を説明します。
 立地場所選定には、近隣の川沿いに居住している方々をアジア大会後に転居させる政策に則り、宿舎は7棟建設されています。この様な背景から、周囲には何もない環境で治安的にも恵まれていません。
 買い出しに出る場合でも、最寄りのショッピングモールまでも渋滞が避けられません。また、この地域は雨による洪水でも有名な場所です。
 選手村宿舎の部屋はツインベッドルーム、シングルベッドルーム、リビング、屋外キッチンの3人部屋で統一されており1室の総面積は37平米。テレビ、冷蔵庫、湯沸かし器などは常備されておらずレンタルで調達する必要があります。また、コインランドリーの設備もなく洗濯は外部業者への依頼が必要です。食事はテント形の大食堂が完備されブッフェスタイルで提供されますが、提供内容は現時点で不明です。
 Wi-Fi環境は導入予定とのことですが、選手村宿舎には約15,000人が宿泊をしますので容量の対応については定かではありません。また、コンビニも入るようですが数件とのことですので、収容人数と件数の関係はWi-Fi同様に心配されます。
 大会本部からチームへリエゾン(世話役)が派遣されますが、英語での対応となることや、野球に詳しくない職員であることが予想され、こうした点からも少しずつストレスを育んでいく要素を含んでいます。
 また、飲食による食当たりにも対策を講じる必要があります。選手村宿舎といっても中高級のホテルとは異なり、衛生面もどこまで対応をするのかも定かではありません。肝心なことは、自分で自分を守り、管理し、万全な体調でコンディションを整え、大会の試合に出場し続けることです。
 水道水は絶対に飲まないこと、歯磨きもペットボトルの水を使用することに加え、てシャワーの水を口に含まないことにも注意が必要です。生野菜は水道水で洗浄していることを考慮すべきですし、氷も同様に水道水から作られている可能性があります。また、香辛料も避けた方が無難です。

 最後に、1人の日本人として、やはり侍ジャパン社会人代表チームには金メダルを獲得して頂きたいです。大会開催前から、グラウンドや選手村宿舎を含めて、通常以上のストレスが生じるのは目に見えています。加えて、侍ジャパンとしてのプレッシャーもあるのではないかと察します。
 短期決戦である国際大会では、準備の差が試合の結果に影響すると考えます。自分はインドネシア代表チームという立場ではありますが、同じ日本人として、侍ジャパン社会人代表チームを可能な範囲でサポートさせていただく所存です。

日本人監督の挑戦
著者プロフィール
野中 寿人(のなか かずと)
1961年6月6日生。日大三高野球部在学3年の夏に西東京代表にて全国高等学校野球選手権大会に出場。
その後、日本大学体育会硬式野球部へ進学。日本大学では1年の秋から体調を壊し2年間の休部をし、現役野球人生を終える。大学卒業後は、フィリピン、サイパンなどで仕事をし2001年にインドネシアのバリ島へ移住。2004年からバリ島の子供達に野球を教え始め2005年にリトルリーグを発足。2006年にはバリ州代表監督に就任、また、クラブチームを発足。2007年にはインドネシア代表ナショナルチームの監督に就任。2007年のSEAゲームスで銅メダル、2009年のアジアカップで優勝、同年のアジア選手権大会へ出場。その後、インドネシア代表ナショナルチームの監督を辞任し、地方州底上げの為に、東ジャワ州代表監督に就任。2011年のインドネシア国体予選で準優勝、2012年のインドネシア国体前哨戦で優勝、同年のインドネシア国体決勝大会で銅メダル。そして2014年からインドネシア代表ナショナルチームの監督に復帰をし、2015年の東アジアカップで準優勝。

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