文・写真=野中寿人
第12回BICレッドソックス深谷組カップも無事に全日程が終え、今年度のインドネシア国内の野球大会が全て終了しました。大会の結果は、東都準硬式野球連盟選抜チームが、優勝決定戦でランプン州から参戦のサブライを相手に8回に逆転、日イ友好親善試合と位置づけられた第1回大会を優勝で飾りました。
大会開催会場となった、ジャカルタ ジャパン クラブ(日本人会/JJC)が所有するジャカルタ近郊のボゴール県スントゥールシティー JJC グランドは、ジャカルタより高地で、避暑地に隣接した場所で、街並みも非常に綺麗に整備されています。グランドの近くにはサーキット場やゴルフコースなどもあり、ジャカルタ市内とは異なり安全性も高い地域です。
グランドについてはリトルリーグとソフトボールを兼用したサイズが6ヘクタール前後の敷地内に4面あり、日本食レストラン、シャワー、トイレ、ロッカールーム、テニスコート、駐車場も完備しています。大会開催にあたり、マウンドの設営や野球サイズの寸法出しなどの作業を行い、雨季に入ってきた時期とあって、大会開催前日まで連日降っていた雨が唯一の不安材料でしたが、大会開始から終了まで雨に見舞われないという幸運に恵まれました。
さて、参加チームによる順位は、優勝が、東都準硬式野球連盟選抜チーム(日本)、準優勝がサブライ(ランプン州)、3位がプランボーズ(ジャカルタ州)となり、各個人賞の表彰に際しては、あらかじめ日本人選手が獲得することを予想し、個人賞をインドネシア人選手からも選出をして、グローブやバットを贈呈しました。また、育成賞を設けて、際立った成果を示した若手のインドネシア人選手へ授与。
このような状況の中、インドネシア代表チームの4番打者であり、ランプン州のサブライチームから参戦をしていた選手が、日本人選手を抑えて打点王を獲得しました。この成績は大きな意味をもつものでしょう。
また、参加した選手の全データは、大会本部からインドネシアアマチュア野球連盟へ提出され、来年度に向けたインドネシア代表チームのメンバー編成に反映されます。
そして、今大会期間中に、2018年までを1スパンとした、東都準硬式野球連盟と、インドネシアアマチュア野球連盟とでの、国際交流親善提携調印式典を執り行いました。この調印式式典には、国家スポーツ省、国家オリンピック委員会といったインドネシア主要機関が立ち会い、インドネシア選手のスキルの向上、野球物資支援等の提携内容が纏められています。
次に、今回の第12回BICレッドソックス深谷組カップが持つもう一つの側面である、来年度の日本での野球修行セレクションの結果を公表します。まず、この大会に参加した選手たちの100%が、自身の未未を託して大会に望みました。日本という野球先進国で野球を行うことは、インドネシアの選手たちにとっては、誰もが憧れる夢であります。その夢を掴むために、大会参加に関する資金を工面して各地域から、集まってきたのです。
そして、セレクションを合格になった選手は、深谷組硬式野球部を主として、駿河台大学硬式野球部、日本大学準硬式野球部、帝京大学準硬式野球部での野球修行、そして独立リーグへのトライアウトなどへ参加する資格が与えられます。また、この野球修行参加の人選は、まず、セレクションとして、大会ベスト9を受賞した選手たち、他に、セレクションを行なった、駿河台大学の野林監督、深谷組在籍の帝京大学の浅野監督、日本大学の杉山コーチの推薦選手が該当となります。更に、修行の受け入れをして頂く、各組織の研修プログラムと、インドネシア代表チーム側のチーム編成における成長箇所を重ねて、最終的な人選を決め、修行先を当て込みます。加えて、指導者としての修行渡航についての人選は、今大会、過去の国際大会における査定と、資質を考慮に入れて決定をさせます。
インドネシア野球にとって、来年度の動向が非常に重く、何人の選手を修行に出せるのか?同時に何人の指導者を修行に出せるのか?この部分に尽きてしまいます。来年度は東アジアカップ、アジア選手権大会が予定されておりますが、これらの国際大会の合間を縫って、選手と指導者を日本へ送り込む段取りでいます。
ひと口に、”野球修行にて日本へ渡航"と、簡単に述べていますが、これは大変、難しいことです。先に記した受け入れ先の各組織の方々があってこそ、成り立つ話しであります。インドネシア野球向上の支援を受け賜ります各組織の方々に感謝しなければいけません。
加えて、同一年度に、複数の受け入れ先の組織に修行渡航出来るということや、1つの連盟との提携調印は、インドネシア野球史上初であり、アジア野球途上諸国でも初めてのこととなりましょう。
(続く)
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著者プロフィール
- 野中 寿人(のなか かずと)
- 1961年6月6日生。日大三高野球部在学3年の夏に西東京代表にて全国高等学校野球選手権大会に出場。
その後、日本大学体育会硬式野球部へ進学。日本大学では1年の秋から体調を壊し2年間の休部をし、現役野球人生を終える。大学卒業後は、フィリピン、サイパンなどで仕事をし2001年にインドネシアのバリ島へ移住。2004年からバリ島の子供達に野球を教え始め2005年にリトルリーグを発足。2006年にはバリ州代表監督に就任、また、クラブチームを発足。2007年にはインドネシア代表ナショナルチームの監督に就任。2007年のSEAゲームスで銅メダル、2009年のアジアカップで優勝、同年のアジア選手権大会へ出場。その後、インドネシア代表ナショナルチームの監督を辞任し、地方州底上げの為に、東ジャワ州代表監督に就任。2011年のインドネシア国体予選で準優勝、2012年のインドネシア国体前哨戦で優勝、同年のインドネシア国体決勝大会で銅メダル。そして2014年からインドネシア代表ナショナルチームの監督に復帰をし、2015年の東アジアカップで準優勝。
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